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INTERVIEW

東京ベイ・浦安市川医療センター ハートセンター長

循環器内科

渡辺 弘之

「わからない」ことを「わかる」ことに変えていく

心臓病の専門家として診療を続ける中で、チーム医療の大切さを強く実感した渡辺弘之先生。コアメンバーとなって立ち上げた東京ハートラボでは、毎年300人もの医療者がより良い医療を提供しようと、一歩先の知識や技術を学び、チーム医療の意義を体感しています。
医療にチームが必要な理由とは? また、私たちが良い医療を受けるためにできることとは? そして、渡辺先生が心臓病を専門に選んだ、意外な理由とは――?

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医療に「チーム」が必要な理由

診療科や職種の壁を超えたチームづくりに注力しているのはなぜですか?

いま私が診ている患者さんは、6割以上が70歳を超えています。私は心臓病が専門ですが、病院に来る高齢の患者さんたちは心臓が悪いだけではなく、ほかにもさまざまな病気を持っていることがほとんどです。若い人たちとは違って、一つの病気が治ればそれで終わり、とはなりません。

年を取って全身がもろくなっていると、病気を治すことだけでなく、体というシステム全体を良くしていくことを考える必要があります。そのためにはいろいろな診療科の先生が協力し合って体全体のバランスを考慮しながら「みんなで患者さんを診る」という体制が重要になってくるのです。

私の師匠である先生は「患者さんが最初に内科に来たから内科で治療する、外科に来たから外科で治療する、という時代はもう終わるよ」と教えてくれました。昔は、外科は内科に頼まれたら手術をし、内科は外科に頼んだら終わりというところがありましたが、それでは患者さんにとって良い医療は提供できません。

榊原から手術ライブ

今後高齢化が進んでいけば、チームで一人の患者さんを診る必要性がさらに増してきます。私は以前から、診療科の壁をなくし、お互いの意見を尊重し合って患者さんにとってのベストな治療をディスカッションできるチームをつくりたいと、ずっと考えてきました。そのために必要なのは、お互いが持つスキルを理解し合い、自由に話し合える関係を築いて、それを維持し続けていくことです。

現状では、内科と外科が相互乗り入れで一緒になって勉強できる場はまだ限られています。それなら自分たちでそのような場をつくろうと考え、東京ハートラボを立ち上げました。この心臓病勉強会には、各科の医師以外にもさまざまな職種の人たちが毎年300人ぐらい参加してくれています。今後も繰り返し開催していくうちに、この輪が少しずつでも広がって、日本全体にいい影響を与えられたらと思っています。

○東京ハートラボ
http://heartlab.umin.ne.jp/index.html

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PROFILE

渡辺 弘之

東京ベイ・浦安市川医療センター ハートセンター長

渡辺 弘之

弘前大学医学部を卒業後、千葉大学で研修。神戸市立医療センター中央市民病院、大阪市立大学、榊原記念病院 循環器内科部長を経て、2012年より東京ベイ・浦安市川医療センター ハートセンター長。
日本心臓病学会特別正会員 (FJCC)、Fellow of the American College of Cardiology (FACC)、日本心エコー図学会 評議員

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