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INTERVIEW

順天堂大学医学部 熱帯医学・寄生虫病学講座 教授

内科

美田 敏宏

マラリア克服のためのキーワードは「対策」

デング熱と同じく蚊が媒介することによって感染するマラリアは、日本では流行していないものの世界では2億人以上の方が感染しています。途上国に感染者が多いマラリアを克服、撲滅するために、美田敏宏先生は「マラリア原虫の薬剤耐性」という切り口で研究されています。マラリア研究に携わることになった経緯や、研究内容、今後の展望を伺いました。

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医療格差のある途上国の人々を助けたい

なぜ、医師になろうと思ったのですか?

医師になった理由の一つは、生物学が好きだったからです。医学は生物学の要素が大きくて、生物学にさまざまなものが含まれて応用生物学のような感覚がありました。生物学に携わりたくて、医学の道に進もうと思ったのです。もう一つの理由は、私の友人が高校生の時に白血病で亡くなったことです。それが人助けがしたいという大きなモチベーションとなっています。そのため、最初から熱帯学に行こうとは思っていませんでした。ただ自分が好きな生物学に携わり、人助けができるという理由から医師の道に進んだのです。

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熱帯学研究に進まれたきっかけは何だったのですか?

私が熱帯学の研究室に入ったのは、他の方に比べると結構遅いのです。9年間内科医として臨床現場で患者さんを診てからでした。

私は海外、それも途上国を頻繁に訪れていて、現地の方にたくさん会ってきました。そこでは日本とは比べ物にならないくらい医療格差があるのです。そこにいる方々に対して「自分は何ができるのか」と考えていました。

そんな時に転機が訪れました。当時勤務していた東京慈恵会医科大学の先輩の先生から、東京女子医科大学の小早川隆敏教授を紹介していただき、お話を伺うことになったのです。お話を伺うまではただ単に、広く途上国の医療に貢献しうる方法を模索していただけでした。具体的には「国境なき医師団のような臨床医としての貢献をするのが一番いいのでは」と何となく考えていました。ところがその研究室では臨床での治療行為を行うのではなく、マラリアという寄生虫の研究を現地に出向いて患者と向き合いながら行い、マラリア感染症対策に役立てるというアプローチをしていたのです。「マラリアの研究を通して途上国の医療格差を少しでも解消し、現地の方々を助けられるのではないか」と思ったのが、この道に入るきっかけになったのです。

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PROFILE

美田 敏宏

順天堂大学医学部 熱帯医学・寄生虫病学講座 教授

美田 敏宏

1990年長崎大学医学部を卒業。東京慈恵会医科大学病院で研修を行い、第一内科学講座(現 消化器肝臓内科)へ入局。1999年より2012年まで東京女子医科大学の国際環境熱帯医学講座でマラリア研究に携わる。その後2012年より順天堂大学医学部 熱帯医学・寄生虫病学講座 教授を務めている。

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