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INTERVIEW

松戸市立病院

小児科

平本 龍吾

小児救急医療×専門医療で地域に残る

常勤小児科医9名から27名に増えた松戸市立病院。この立役者は、現・小児科兼小児集中治療科部長の平本龍吾先生です。平本先生はあることをきっかけに小児科の改革を実行。10年余りかけて数々の変化をもたらし、結果として医師数を増やしてきました。どのような改革を行ってきたのか、見据えていることはどのようなことなのか、お話を伺いました。

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小児科医が疲弊する環境を改革する

―なぜ小児科の改革を進めてきたのですか?

転機は2004年に臨床初期研修制度が始まり、千葉大学から派遣されていたローテート医師が来なくなってしまったことでした。当時残った常勤医は9名。社会的にはちょうど小児科医の減少や過労死が問題視されたり、医療訴訟が増加したりしていた時期―。自分たちでこの環境を変えなければ、いずれは常勤医の疲弊と小児科縮小の一途を辿ると考え、自分たちで後期研修医を育てていこうと、改革に乗り出しました。

―具体的には、どのようなことを進めてきたのですか?

後期研修医を集めるために、目標に据えたことが2つあります。1点目が、後期研修医の教育システムを“one of the best”にすること。小児科後期研修医の教育環境としてNo.1になることは難しいですが、全国トップ10に入るくらいには整えようと考えました。そして2点目が、最重症小児患者の受け入れ可能なPICU(小児集中治療室)を作ることでした。

そしてこれらの目標を実現するために、常勤医が常勤で働き続けられる環境を整備することが必要と考え導入したのが、グループ主治医制でした。グループ主治医制にすることで、1人ひとりの医師がしっかりと休みを取れるようにし、疲弊につながる要素を少しでも緩和することができるからです。

ただしグループ主治医制を継続するためには、医師一人ひとりのスキルの標準化が必要です。そのために例えば救急医療に関してはPALS(小児二次救命処置法)の資格取得を義務化し、指導の標準化と能力の底上げを図ったのです。

また、グループ主治医制と並行して行ったのが、「松戸市夜間小児急病センター」の設置でした。当院横に設けたこのセンターで、松戸市医師会と連携して、夜間の小児軽症救急患者の診察を行う仕組みにしたのです。このセンターでは、当院の小児科医と松戸市医師会医師の2名体制で診察、トリアージを導入して重症度が高い患者さんはすぐに当院に運び込んでいます。2017年現在では年間約8000人の患者を受け入れているので、一晩の平均患者数は約22名。約5%は当科へ紹介となりますが、残りの95%の患者さんはこのセンターで診察後帰宅されるので、院内では2次から3次救急患者さんの治療に専念できています。

さらに、小児科としての受け入れ入院患者数を増やしていきました。改革以前の2004年前後は年間1200人程度でしたが、2009年には2000人を超えるまでになりました。その前年には小児入院医療管理料1を取得することができ、小児科の黒字化に成功しました。この時点で常勤小児科医22名、2017年には27名にまでなりました。

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PROFILE

平本 龍吾

松戸市立病院

平本 龍吾

松戸市立病院小児医療センター小児科・小児集中治療科部長
1984年に自治医科大学卒業後、松戸市立病院にて初期研修、同病院小児医療センターにて小児科後期研修修了。国保多古中央病院小児科勤務の後、松戸市立病院小児医療センター小児科医長、同科部長を経て、2014年より現職。
(2017年12月新病院移転後は、松戸市立総合医療センター小児医療センターに名称変更)

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