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ヘルステックの導入で、医師が「医師」に専念できる医療界にしたい

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医師5年目の上田悠理先生は、週の2.5日は形成外科医として、それ以外はヘルステック領域のグローバルカンファレンス「Health 2.0 Asia – Japan」の統括ディレクターとして活動しています。どのような想いで、今のキャリアを選択したのでしょうか?

■課題解決に挑戦する医師が活躍できるプラットフォームをつくる

―現在、どのようなことに挑戦しているのですか?

今一番の挑戦は、アメリカで始まった、医療・ヘルスケアにおける最新テクノロジー(ヘルステック)と、それを活用した先進事例をライブで紹介するグローバルカンファレンスHealth 2.0の日本版、「Health 2.0 Asia – Japan」(メドピア主催)の統括ディレクターとしての仕事です。

なぜこれに取り組んでいるかというと、私は、医師が「医師」としての仕事に集中する、つまり患者さんに対する仕事に専念できる状態にしていきたいと思っているからです。

それを実現するためには、既存のテクノロジーを医療や健康にアジャストさせて導入していくことが必要で、そのための制度整備や予算の創出、医療・健康分野におけるテクノロジー導入のエコシステムの構築が必要になってきます。

医療現場に強い課題感を持ち、臨床の第一線で歩んでいく医師のキャリアのみならず、起業して、テクノロジーを活用してヘルスケア領域の課題を解決しようとしている医師はたくさんいます。そのような人たちの活躍の場を広げることでヘルステックが発展していけば、医師が患者さんを診るという本来の仕事に専念できる社会を実現できると思います。

そして今の私にできることは、医療現場で実際に直面している課題感を持つ医師や医療関係者と、課題解決に寄与するテクノロジーを集め、実際のソリューションに昇華させるための場を作ること。それがまさしく、Health 2.0 Asia – Japanの統括ディレクターなのです。

―どのような経緯で、Health 2.0 Asia – Japanの統括ディレクターに就任したのですか?

私の臨床医としての専門は形成外科です。形成外科の臨床現場では、糖尿病の足潰瘍の患者さんも診ていますが、「なんでこんなにひどくなるまで放っておいたの?」という方が数多くいます。そのような患者さんを診るたびに「歩けなくなってしまう前に介入できたら――」と、強く思っていました。

そのように思っていた医師3年目の時に、メドピア株式会社の社長・石見陽先生に出会いました。「ドクターズバー」という参加者の4割程度が医師の異業種交流会があり、その運営スタッフの一人として参加していた時に、石見先生に出会ったのです。

そこで話をしていくうちに「医療・ヘルスケア領域の最新テクノロジーの活用事例を紹介するHealth 2.0 Asia – Japanというカンファレンスの統括ディレクターをやらないか」と、声をかけていただいたのです。突然のことで驚きましたが、面白そう、私にもできることがあるのではないか、と思い引き受けました。実は、こんなに大きなイベントだとは知らずに引き受けたので、開催までの期間は非常に苦労しましたが、このイベントがきっかけで、自分のキャリアが大きく変わったように思います。

―どのようにご自身のキャリアが変わったのですか?

Health 2.0 Asia – Japanの統括ディレクターを務めたことで、医療の課題を解決するために、様々な分野の方々が挑戦していることを知りました。そこから、このような医療と他分野の連携の可能性を広げる場をつくり、人と情報のハブになることで、医療・ヘルスケア業界の変革に貢献していける、と確信しました。自分が一医師として一生働いて助けることができる患者さんの数には限りがあります。もちろんその役割は必要不可欠ですが、ヘルステック領域にエコシステムを構築することで、自分が医師として患者さんの命を助けられなくなっても、後世の患者さんも救うことにつながるかもしれない。そう思うようになり、今の働き方を選択しました。

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医師プロフィール

上田 悠理 形成外科

形成外科/Health 2.0 Asia – Japan 統括ディレクター
1987年山口県生まれ。早稲田大学法学部に進学後、岡山大学医学部に編入。埼玉石心会病院にて初期研修を修了後、形成外科医として勤務。2017年から、医療・ヘルスケア領域の最新テクノロジーの活用事例を紹介するカンファレンス「Health 2.0 Asia – Japan」の統括ディレクターを務めている。

上田 悠理
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