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女性医師が笑顔で働き続けるために[2]

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記事

自分はどこで何をしているのが幸せなのか、具体的な目標が見えたら、次はそこに向かうパスを考えていきます。女性医師が幸せに働く道を選択する方法とは?

~幸せ総合点の高い選択肢を選ぶ~

 

「5年後、育児をしながらフルタイム消化器外科医として働く」と目標を立てたとしましょう。A病院が男女ともに育休を推奨、かたやB病院は女性支援に関しては言及がなく女性の消化器外科常勤医はゼロの場合、どちらの病院を選びますか?

 

B病院が今後変わる可能性はありますが、A病院の方が目標の「子供を産み育てながら」という部分の達成率が高そうだという確率計算は恐らく正しいでしょう。ところがA病院は自分が最も興味のある手術Xは取り扱っていません。B病院には手術Xの名医がいて多くを学べそうです。この場合どちらを選択しても何らかの妥協が必要で選択に迷います。

 

このようなとき私は、各確率を考慮した上で、幸せの総合点がより高い選択肢を選ぶやり方取っています。そのためには、どの状態のときに自分はどの程度幸せを感じるのか、自分自身で把握しておく必要があります。

 

この例では「子供を産み育て手術Xに携わる外科医」の幸せを100としたときの「子供はおらず手術Xに携わる外科医」や「子供を産み育て手術Xをやらない外科医」の幸せ度を客観的に数字で表現できる必要があります(度数は各個人で異なります)。そしてそれぞれの幸せ度に、その事象が各病院で起こりそうな(推定)確率を掛け、全てを加算し、最終的にA病院とB病院のどちらが幸せ総合点が高いか見極めます。

 

私は、例えば残業をするかどうかなど日々の選択もこのやり方で決めています。確率や幸せ度は間違っていることも多々ありますが、こうすると不思議と選択後の後悔が減るほか、選択後に生じうるあらゆる事態を想定するので、自然に事前対策の癖がつき、行き当たりばったりが少なくなります。また、自分を改めて見直すチャンスにもなります。

女性医師が笑顔で働き続けるために[1]

 女性医師が笑顔で働き続けるために[3]

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医師プロフィール

隈丸 加奈子 放射線科

2005年東京大学医学部卒、2012年医学博士取得(生体物理医学専攻)。ハーバードメディカルスクール・ブリガムアンドウィメンズ病院放射線科にて客員研究員を経たのち、現在同院同科のAssistant Professor。専門は心・血管画像、画像検査の利用分析。2児の母でもあり、2013年に建築士の友人と共にボストン近郊の日本人ワーキングママを支援する活動を開始。

隈丸 加奈子
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