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本当に必要な美容外科治療を安全に受けるために[2]

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健康な人を扱う医学である以上、美容外科では「医療」以上に安全性が優先されなければなりません。健康は最も基本的な美しさの条件なのです。

日本では美容整形という言葉が一般的かも知れませんが、正式な標榜科としては美容外科といいます。私は形成外科の専門医ですが、美容外科は形成外科のサブスペシャリティーと考えられるでしょう。

形成外科の仕事は病気やけが、あるいは先天的な原因で失ったもの、壊れたもの、正常ではなくなった部位に対して、機能的にも外見上も正常な状態に近づける再建医学です。一方美容外科は、醜い傷跡を目立たなくする治療は別として、健康な方がより質的に(美的に)さらに上の状態を目指して行う医療分野です。

しかし、乳がんの患者さんの乳房再建術の中には保険が認められず美容外科扱いになるものがあるように、実際はその境界線も曖昧なものも多くあります。それゆえ質の医療としてあくまで同様の医療、形成外科の一分野としてしっかり認識される必要があります。さらに基本的に健康な人を扱う医学である以上、むしろ他の医療分野以上に安全性が優先されなければなりません。健康は最も基本的な美しさの条件なのです。

何年も持続するとうたったシワ取り注射や、異物を額や頬に注入したり挿入したりする治療は、その点の安全性や効果の根拠に対する説明が曖昧であることが多いようです。また、簡単に「痩せる」「にきびができなくなる」「ニキビ跡が消える」「バストが豊かになる」「毛が生える」「肌が白くなる」「傷あとが無くなる」テープ、クリーム、薬、注射やレーザーなど、現実にはまだどんな再生医療でも実用化されていないものに対して、安易に宣伝し患者さんに勧めているものがあるようです。効果がなければ費用は惜しいだけで済みますが、実際にそのような薬、注射で効果(変化?)が出たならばむしろ副作用の結果であるかもしれません。

そういった反面、逆の意味で美容治療に対する偏見もあります。一部の施設、医師がいい加減な準備や未熟な技術によって起こした失敗をもって、その治療自体が安全でない間違ったものであると判断されるものです。

商業目的のみの過大で不正確な宣伝があるのも事実ですが、興味本位で美容外科全体を色眼鏡でみる一部の報道にも問題はあります。一方的な宣伝、うわさ、イメージ中心の情報ではなく、医学的にも正確な知識や情報を私たちが発信していく努力が大切だと考えます。私は美容医学に携わる一人として、なるべく正確でわかりやすい情報を紹介していきたいと思います。

本当に必要な美容外科治療を安全に受けるために[1]

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医師プロフィール

鄭 憲(テイ ケン) 形成外科・美容外科

韓国 延世大学医学部卒業 韓国、日本医師国家資格取得 東京大学医学部形成外科・美容外科にレジデント終了、形成外科専門医取得。 同愛記念病院形成外科医長、湯河原厚生年金病院形成外科医長を経て、2005年アジアン美容クリニック開院。 2007年より 帝京大学医学部附属病院美容センター非常勤講師兼任 日本形成外科学会 認定専門医 日本美容外科学会(JSAPS)正会員 日韓両国で技術を磨いた院長が、安全性と医療的根拠を基にした、欧米基準に偏らない東洋人のための美容治療の実践を目指すクリニックです。

鄭 憲(テイ ケン)
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