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INTERVIEW

医療法人社団ナイズ理事長、キャップスクリニック総院長

小児科

白岡 亮平

「本当の治療、本当の健康作り」のために必要なこと

 2012年4月、東京都江戸川区の西葛西に32歳の若さで365日年中無休のクリニックを開業し、現在都内4箇所でクリニックを展開されている白岡亮平先生。代官山のT-SITE蔦屋書店内にあるクリニックは、蔦谷書店を運営されている会社の社長が医療法人の理念に共感されたとのことでお声がかかり、開業に至りました。
 代官山の院長、4つのクリニックの総院長を務めながら、今後の新たなクリニックの展開を図り、予防医療に力を入れるため運動や食に関しての資格を取得、更には健康づくりの新たなサービスとプラットフォームを提供するための会社も設立されています。
「患者さんや地域の人たちが必要としてくれていれば、それは何ものにも変え難い」という信念のもと、子どもたちと保護者を支援し、多方面から人々の健康を作る活動を行っています。

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マネジメントにより、組織としての力を発揮させる

―2年半で4つの年中無休クリニックを開業された経緯を教えてください。

 勤務医時代、「本当に患者さんのためになる医療」を提供していくために何が必要かを、とことん突き詰めて考えていました。その結果、医師同士をはじめ、医療に携わる様々な職種の人たちが連携し、組織として力を発揮することが必要だと考えました。現状の医療では、職種間の隔たりや縦割りシステムがあることによって、組織として力を発揮することがなかなかできていないように感じたからです。これを解決し、医療に携わる人々の連携を強化するためには、組織をマネジメントすることが必要だと考えました。

 当時はマネジメントの知識や経験がほとんどなかったこともあり、まわりの人に話しても「ある程度上手くいっていることを、わざわざ荒立てることはない」と、考えをなかなか受け入れてもらえませんでした。それなら自分で組織をつくり、地域の人に提供するところから始めてみようと思い、開業することにしました。

 クリニックを複数展開することは、当初から決めていました。というのも、より多くの現場で様々な施策を実践してみることで、より良い医療が生み出せると思ったからです。複数の異なる拠点がそのように力を合わせて同じことに取り組んでいくためには、情報の共有化が大切だと思います。複数のクリニック間で円滑に情報共有できる仕組みをつくりつつ、今後もクリニックを展開していきたいと思っています。

―365日対応のクリニックを増やしていくとなると、人材集めに苦労されそうですが……。

 初めのうちはスタッフ一人当たりにかかる負荷が大きくなってしまっていたと思います。段々と一緒に働いてくれる人が増えてきて、その中でシフトを仕組み化したことで、4年目に入りようやくまわるようになってきました。

 また、メディアにも私たちの医療法人が考えていることを取り上げてもらうことができたので、「理念に共感したから一緒にやりたい」と連絡してくれる方もいて、自然と人が集まってくるようになりました。しかし、日々忙しい医療現場で働いていると目標を見失いやすく、仕事が辛くなり続きにくくなってしまいます。そこで、面接時や日々のマネジメントの中で、個人個人がここで働くことで何がしたいのかを共有し、認識を合わせるようにしています。

○医療法人社団ナイズ概要
http://www.mnys.jp/

 

―スタッフが増えていく中で、どのように組織をマネジメントされていかれたのですか。

 組織が目指す方向を常に発信し続けていくことに、多く時間を割いています。そうすることで個々が方向に沿った判断をし、責任感を持つことで個人の仕事の楽しさも生まれ、上手く組織がまわるようになっていきます。

 「医療は最終判断者が医師だから、できることが少ない」と思う方もいると思いますが、医師から指示を受けなくても、そこの業種だから判断できることや、職種ごとの役割は沢山あると思います。医療の現場だからこそ強い責任感を持ってもらうために、「自分の力で物事を決める」という瞬間を、スタッフに多く提供するようにしています。判断するためには色々な知識や勉強も必要ですが、自分たちで判断できる環境を作ることが大事だと思うからです。

 ただ、個々の決断が間違った方向に反れてしまうこともありますよね。また、判断を人に帰属すると、「あの人は機嫌が悪いからこんな決断をしたんじゃないか」と捉えられてしまうこともあります。そこで『ビジョンブック』というものを作り、理念やミッション、スタッフの心得、組織が大事にしていることなどをきちんと文字化しました。判断に迷う際の指標になりますし、『ビジョンブック』を軸とした判断なら、「組織を大事にした上での判断」だと、誰もが納得できるようになります。

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PROFILE

白岡 亮平

医療法人社団ナイズ理事長、キャップスクリニック総院長

白岡 亮平

新潟県生まれ。慶応義塾大学医学部卒業。大学在学中米国コロンビア大学に短期留学。さいたま市立病院、慶応義塾大学病院などに勤務し、小児医療を中心に一次医療から三次医療まで地域医療に勤務医として専念する。
2012年4月、東京都江戸川区に365日年中無休の「キャップスこどもクリニック西葛西」を開院。同年7月に医療法人社団ナイズを設立。2013年7月には北葛西、2014年1月には代官山T-SITE内、同年9月には亀有にも開院し、4つのクリニックの総院長を務める。

2014年12月、医療と他分野が融合して健康を作りだすことを推進するメディカルフィットネスラボラトリー株式会社設立。2015年9月、健康・運動・栄養のデータを統合的に管理し各専門職が健康をサポートするフィットネスジム「DATA FITNESS」をオープン。
日本医師会認定健康スポーツ医、米国アスレティックトレーナーやストレングスコーチの必須資格とも言われるNASM-PES(ナショナルアカデミーオブスポーツメディシン‐パフォーマンスエンハンストスペシャリスト)、加圧トレーニングインストラクター、ジュニアアスリートフードマイスター取得。

著書に「こどもの病気治療の本当のこと “Dr.365”のこどもの病気相談室」(小学館)がある。

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