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小さな傷で済み、数分で終わる! 粉瘤の新しい治療法

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粉瘤(アテローム)は、皮膚に内向きの袋が形成される良性の病気です。粉瘤の治療法は、従来、傷跡が残る切除術が一般的でしたが、現在は傷が小さく短時間で済む新しい治療法が主流になりつつあります。

 

粉瘤(アテローマ)の従来の手術方法は、粉瘤を含むようにして木の葉状に切除するのが一般的でした。この場合、2cmの粉瘤を取り除くのに4〜6cmほどの傷を残してしまうことになります。

粉瘤治療図1

体ならまだしも、顔の場合は傷跡が大きな問題となるでしょう。

そこで登場したのがくり抜き法です。これは、粉瘤の臍(へそ)と呼ばれる開口部に小さなパンチで穴をあけ、そこから粉瘤の内容物、袋等を抜き出す方法です。

粉瘤治療図2

この方法なら、これまでよりはるかに小さな傷で済むようになります。

くり抜き法の優れているところは、粉瘤が炎症を起こして痛くなってしまった後でも問題なく手術が行える点です。そもそも粉瘤は痛くなってから病院に行く方が多いのですが、これまでの方法では、痛くなった後では切除できない場合が多かったのです。

というのも、粉瘤が痛くなった状態というのは、要するに炎症を起こしている状態です。従来の手術方法では粉瘤を切除した後、傷を縫い合わせることが必須ですが、炎症があると、縫合した傷がうんでしまったり、開いてしまったりするため、とりあえず膿を抜いて炎症が治まるのを待ち、炎症が治まった後で改めて粉瘤を切除するという方法が取られていました。この方法では粉瘤が治るまでに何度も通院する必要があり、2〜3カ月かかることもよくありました。

粉瘤治療図3

新しく登場したくり抜き法では必ずしも縫合が必要ないため、炎症があってもその場で手術し、粉瘤を摘出する事が可能です。何度も病院に通う時間のない方には非常に良い治療法です。

粉瘤治療図4

さらに、従来の方法よりも小さな傷で済みます。

これらの理由により現在では、くり抜き法が粉瘤に対する標準的な治療の一つとなりつつあります。

くり抜き法は、従来の方法と比べて再発率が高いのではないかと考えられていましたが、熟練すれば再発率は極めて低くなります。

ただし極端に大きな症例や、何度も炎症を繰り返し高度な癒着が想定される場合には、くり抜き法での治療は困難です。その場合は、従来の方法で治療することになります。

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医師プロフィール

花房 火月 皮膚科

東京大学医学部を卒業後、癌研有明病院、東京大学医学部附属病院、NTT関東病院などで研修を積む。2011年、東京都三鷹市にて独立。年間2800件を超える手術を担当するなど、皮膚科、皮膚外科、美容皮膚科の分野で活躍している。2014年には埼玉県新座にもクリニックを開設。大病院での経験を糧に「患者さん一人ひとりにじっくり向き合う診療」をポリシーとし、広く開かれた医療を目指しながら、「より多くの患者さんのための医療体制にしていきたい」と皮膚疾患に関する情報発信にも注力している。テレビ出演歴多数。

花房 火月
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