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日本と韓国、美容外科はどちらを選ぶべき?

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日本と韓国では、美容外科の特徴に違いがあります。美容医療はどちらの国で受けるのがよいのでしょうか?

 

韓国の美容外科(形成外科)クリニックの特徴の一つは、専門が非常に細分化されているところです。例えば目の二重手術専門、鼻の手術専門、豊胸術や脂肪吸引専門、顔の輪郭形成専門というように、専門医が一つの分野に特化して治療を行うスタイルが一般的です。そして、各々専門を持った医師が数人集まって、協力しながらクリニックを運営するところが増えてきています。韓国では美容外科同士での競争が激しいため、コスト面でも技術習得の効率面でも、必然的にそうなるのかもしれません。

日本で美容を専攻する形成外科医は少数です。日本の形成外科医の大部分は保険診療を行う総合病院に長く勤めるケースが多いのに反し、韓国の医師ははじめから美容を目指します。韓国では、専門医を取得すれば保険診療分野の臨床はほどほどに、できるだけ早く美容の技術を習得し、開業することが目標になります。それを踏まえると、多種類の手術を経験するには時間がかかり上達もしにくいことが、韓国の美容外科が細分化している理由の一つといえるでしょう。

一つの分野に特化して診療を行うスタイルでは、多くの症例をこなすことで安定した技術を早く習得することができ、コスト面の効率もよいという利点があります。その反面、人の「美しさ」はそれぞれのパーツで決まるというより、全体的なバランスに負う面が大きいため、手術の範囲や方法、必要性を考慮するという点において、局所的・機械的になりやすい面があると考えます。実際に、韓国で手術をされてきた患者さんの中には、一部分だけが際立って見えるような整形を受けた人を見ることがあります。もちろん治療技術の高さは感じますが、過剰治療に思えるケースもあります。

「日本と韓国の美容外科はどちらが良いか?」という質問にはそれほど意味がありません。なぜなら、同じ治療でも医師の経験や技術、美容医療に取り組む姿勢によって、効果や結果が異なるからです。あえてコメントするとすれば、形成外科専門医の多くが美容分野に進む韓国の方が、基本的な手術における技術力の平均点は高いかも知れません。しかし、多様な美容医療の分野で、その人に必要な医療を受けるという観点でいえば、結局は個人的な能力や患者さんとの相性が満足度を決めることになります。

美容外科も基本的には内科や外科などと同じ、医療行為です。ただ、美容医療の場合、雑誌やインターネット、テレビなどによるやや過剰な広告によって有名になるクリニックもあります。各クリニックの最終的な評価は、実際に治療やカウンセリングを受けた患者さんが判断するしかないでしょう。そのためには、十分に納得できるまで医師と話す姿勢が大切です。

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医師プロフィール

鄭 憲(テイ ケン) 形成外科・美容外科

韓国 延世大学医学部卒業 韓国、日本医師国家資格取得 東京大学医学部形成外科・美容外科にレジデント終了、形成外科専門医取得。 同愛記念病院形成外科医長、湯河原厚生年金病院形成外科医長を経て、2005年アジアン美容クリニック開院。 2007年より 帝京大学医学部附属病院美容センター非常勤講師兼任 日本形成外科学会 認定専門医 日本美容外科学会(JSAPS)正会員 日韓両国で技術を磨いた院長が、安全性と医療的根拠を基にした、欧米基準に偏らない東洋人のための美容治療の実践を目指すクリニックです。

鄭 憲(テイ ケン)
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