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高浜町の「田舎のホスピタリスト」を全国へ

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医師10年目の海透優太先生は、医師8年目に福井県高浜町唯一の入院施設があるJCHO若狭高浜病院に赴任しました。ここで「田舎のホスピタリスト」確立を目指す海透先生。どのような経緯で高浜町にやってきたのか、現在はどのようなことに取り組んでいるのか伺いました。

◆高浜町で田舎のホスピタリストを確立する

―現在の取り組みを教えていただけますか?

2017年、福井県高浜町唯一の病院であるJCHO若狭高浜病院に赴任し、整形外科・総合診療科・臨床研究センター長として、診療や研修医の教育に携わっています。私はここ高浜町で、多くの医療者が一番イメージしにくいであろう「田舎のホスピタリスト」を確立したいと考えています。

人口 人で若狭湾と山に囲まれた町で、唯一の入院施設を有した高浜病院の総合診療医の役割はとても広いです。各診療科の専門医が充足しているわけではありませんし、近隣のより高度な医療を受けようと思っても、片道1時間以上かけて行かなければならない場合もあります。その一方で、住民の多くが望むことは、高浜町で治療を完結できること。そのニーズに応えるためには、可能な限り自分たちの能力で安全に提供できる医療の幅を広げなければなりません。

救急の能力や、急性期から慢性期までの疾患管理能力、高齢者のフレイルや終末期、お看取りまで包括的なニーズに応えるのが「田舎のホスピタリスト」です。同時に、自分たちの限界もわきまえられる能力も必要です。

これまで歴代の先生方がやってきたことではありますが、学問として体系立ってはいないと思います。しかし発展途上の総合診療領域において、「田舎のホスピタリスト」は1つのキャリアパスになり得ます。そこで体系立ったキャリアパスになるよう、高浜で確立したいと考えています。

キャリアパスの1つとして広く知ってもらうためには、やはり実際に来て見てもらう必要があります。人が集まるには、やはり教育が成り立っている必要があります。それで教育にも力を入れているのです。これまでの先生方のご尽力もあり、現在、年間30人程の初期研修医が1カ月間の地域医療実習のためにやってきます。

ただ実は、人を集めること以外にも教育に力を入れる理由があります。

―それは何のためですか?

指導者側が知識の定着やより深く勉強するためというのもありますが、病院のコメディカルと同じ方向を見るための1つの手段としてです。

さすがにベクトルが真反対に向いている人はいませんが、一人ひとりのベクトルの方向は少しずつ違っています。そのベクトルを1つの大きな束にまとめ、さらにいい方向に向け、病院全体がより良くなっていることを実感してもらうための手段が教育なのです。

決して、私の太いベクトルに他の人たちのベクトルを引き寄せるわけではありません。それをしたら、ベクトルの方向性が合わなくて、スタッフは病院を辞めたくなります。しかし都市部と違って働き口が少ないので、辞めたいと思っても簡単に辞められません。私は、地域住民はもちろんのこと、高浜病院で働くスタッフにもハッピーでいてほしいと考えているからです。

―具体的に教育では、どのようなことを意識しているのですか?

例えばコメディカル向けの勉強会では、日々の診療を出発点に教科書的な内容をレクチャーしますが、必ず最後に「明日の診療で〇〇を見たら△△しよう」と、明日の業務で使えるクリニカルパールを伝えています。研修医にはもう一段ランクを上げて、毎日の振り返りの際に、自分でクリニカルパールを探させ、皆に共有するようにしていますね。

あとは、この土地で今まで頑張ってきた人たちには、頑張ってきた方法があり、歴史があります。その方法が患者さんの不利益になることであれば止めますが、仮にオールドファッションであっても、それを絶対に否定しないことです。そこからさらに良い方法を具体的なエッセンスとして提供するようにしています。

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医師プロフィール

海透 優太 総合診療医

JCHO若狭高浜病院 整形外科・総合診療科・臨床研究センター長
福井県出身。2010年福井大学医学部を卒業後、宇治徳洲会病院にて初期研修修了、同病院救急科、総合内科、整形外科で研鑽を積む。2017年JCHO若狭高浜病院に赴任、現在に至る。

海透 優太
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