肩のこらない「肩こり」の話[1]
記事
昔の話ですが、長年通院してくれた患者さまとの会話の中で「最近肩がこってね、困っています」という何気ない言葉をお聞きし、「それでは診察してみましょうか?」とお答えしたことがありました。その患者さまは「整形外科で肩こりも診てくれるの?」と大変驚かれていた記憶があります。
私が大学病院や市中病院の勤務医だったころ、整形外来に肩こりを訴えて受診される患者さまはほとんどいませんでした。さらに患者さまも病院で肩こりを診てくれるとは思っていなかったように思います。また内科、整形外科、婦人科など細かく分けられた診療科のどこにかかればよいかわからないこともあると思います。
今思うと、診察するわれわれも肩こりに関心をもって対応してはいなかったように思います。病院の勤務医だった当時の私は、手術で治せる病気に目を向けていましたが、開業医となってからは肩こり外来を開いています。
肩こり外来にいらっしゃった患者さまからは、「内科や婦人科の先生に相談したけど湿布を処方されただけだった」、「整形外科を受診したがレントゲン写真を撮られて、何も異常ありませんと言われ、何一つ治療はしてくれなかった」などとお聞きします。今でも肩こりの患者さまへの対応はあまり親切ではないように思えて仕方ありません。
医師プロフィール
平沼 尚和 整形外科
1977年日本医科大学卒業。日本医科大麻酔科学教室入局
1983年城南総合病院麻酔科部長
1985年日本医科大学整形外科教室入局
1991年協友会屏風ヶ浦病院整形外科部長
2005年平沼整形外科クリニック開設し現在に至る
医学博士、日本整形外科学会専門医、麻酔科標榜医