進化する脳梗塞治療[1] 脳梗塞ってどんな病気?
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患者 基本的な質問ですが、脳梗塞とはどんな病気ですか?
医師 すごく単純に説明するなら、頭の中の血管が詰まる病気です。そして、その詰まり方によって「血栓性梗塞」「塞栓性梗塞」などに分類して考えます。脳梗塞は分類によって詰まり方だけでなく予防、症状、治療もかなり異なります。
患者 どのような点が違うのですか?
医師 まず「血栓性梗塞」は、動脈硬化などにより血管が狭くなっていき、最終的に脳が必要とする血流が維持できなくなり、脳梗塞となるものです。予防には、高血圧、生活習慣の是正などの他に、抗血小板剤という薬を飲みます。症状は、次に述べる「塞栓性梗塞」と比べると軽い場合が多いのも特徴です。
「塞栓性梗塞」は、主に不整脈などにより血液の流れが淀み、血の塊が頭の血管に詰まることにより生じます。これに対する予防薬は、長らくワーファリンという抗凝固薬のみでしたが、その後新しい薬剤が増え、効果はワーファリンと同等かそれ以上であり、安全性も高くなりました。新しい抗凝固薬は、現在日本では3種類があり、これからさらに1種類増える予定です。
「塞栓性梗塞」は、症状が重篤かつ突然に起こることが特徴の一つです。小渕元首相はこの病気で亡くなり、長嶋監督や田中元首相なども社会復帰が難しい重篤な後遺障害を患うことになりました。ただし、脳梗塞の治療や予防は進化していますので、それらについて知っておくことも重要です。
医師プロフィール
内田 賢一 脳神経外科
中東遠総合医療センター 脳神経外科部長
2002年福井医科大学卒業、東京警察病院、福井赤十字病院などを経て現職。
趣味はトライアスロン、登山など。神奈川県藤沢市出身。