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在宅医療分野のサービスを切り口に、医療の最適化を目指したい

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医師6年目の牧賢郎先生は現在、株式会社UMedの代表取締役医師として、2人の共同経営者とともにある事業に取り組んでいます。もともと社会課題の解決に取り組みたいと考えていたそうですが、起業はもっと先のことと思っていたそうです。そんな牧先生が後期研修直後に起業を踏み切ったわけとは――?

◆「医師として社会課題の解決に取り組みたい」

―学生時代はどの診療科に進むことを考えていたのですか?

医師を目指し始めた頃は、外科に進もうと考えていました。新しい手技を身につけ腕を磨いていくことに憧れていたんです。一方で、医師として社会課題に取り組んでいきたいという思いもありました。

メジャーな疾患に関しては、かなりの程度治療が確立してきています。しかし、そんな医療を適切に効率的に活用していく仕組みづくりや、社会課題に対してそれらを有効に活用する取り組みなどは、まだ追いついていない印象を持っていました。そのため徐々に、医師として早く成熟し、社会課題の解決に取り組んでいきたいと考えるようになりました。

―学生時代から社会の仕組みづくりに携わりたいと考えていたのですね。

進学した東京大学で、医学部以外の友人が多かったことが影響していると思います。彼らの考え方に接していると、医療業界の遅れや考えの古さなどを感じ、仕組みの変革が必要だと感じるようになったのだと思います。

初期研修医になってからも、より一層強く感じるようになり、この課題に対して何らかの取り組みをしたいと考えるようになりました。

◆「餅は餅屋に」起業に踏み切れたワケ

―キャリアとしてはどのような選択肢を考えていましたか?

初期研修を終えたタイミングで、3つの選択肢を考えていました。1つは行政の立場から医療の仕組みを変えるために医系技官になる道。2つ目はコンサルティングファームなど、民間からアプローチする道。そして3つ目は、医師として医療の中から発言権を持って発信して変えていく道。それぞれお話を伺ったり、見学させていただいたりしましたが、どの道に進むかは悩みましたね。

最終的に出した答えは、後期研修を受けた後に臨床以外からアプローチすること。

医学部6年+初期研修2年で医師としての知識や経験を身につけてきたのに、ここで臨床を離れるのは一番中途半端だと思ったからです。例えばこのタイミングでビジネスの世界などに入ったとしても、まだ医師として医療のことを十分に理解できていないために、思うような働きができないのではないかと考えました。これまでの医師としての経験を活かすためにも、専門医を取れるぐらいまで研鑽を積み、医療の全体像を理解するほうがいいと考えたのです。そして、幅広い社会課題に接する機会が多いであろう救急科の後期研修に進みました。

―なぜ後期研修修了後に起業することにしたのですか?

一番大きな理由は、共同経営者の二人に出会ったことです。

もともと、全てを自分でできる人が起業するのだと思っていました。そのためプログラミングやコンサルティングなど、将来必要そうな分野の知識を学んでいた時期がありました。ところが、全てを自分1人だけではできない、と気付き始めたんです。

ことわざに「餅は餅屋」とありますが、得意分野を持った人たちが集まり、得意な人に得意なことを任せていくことが、物事をうまく進める秘訣だと知りました。

そんな折、共同経営者の2人に出会いました。最初はたまに会って飲むぐらいの間柄だったのですが、ある時、共同経営者の一人から「こんなことができないか?」と事業案を持ちかけられたのです。それについて1年半近くディスカッションを重ねていく中で「2人は私が持っていないものを持っている。お互いに補いながら力を合わせれば、社会に対して良いものを提供できるのではないか」と思うようになったのです。

そうして2020年3月に会社を設立。まずはそれぞれ副業という形でいくつかのサービスをリリースして試していました。手応えがつかめてきたところで、2021年4月、資金調達に踏み切り、皆フルタイムで事業の方に力を入れ始めました。

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医師プロフィール

牧 賢郎 救急医

株式会社UMed代表取締役医師
愛媛県出身。2016年東京大学医学部を卒業、日本赤十字社医療センターにて初期研修を修了、救急科専門医を取得。テクノロジーの活用を通じて、安全・高品質かつ顧客目線に立った医療の提供を目指し、李龍珠、カカール明良とともに株式会社UMedを協同創業。

牧 賢郎
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