口から入れる内視鏡と鼻から入れる内視鏡、痛くないのはどっち?[1]
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検査を受ける際の痛みは、できるだけ避けたいもの。鼻から入れる内視鏡検査は痛くない、というのは本当なのでしょうか?
患者:内視鏡は初めてなんですが、やはり鼻からの方がいいんでしょうか?
先生:どちらでも同じですよ。ご希望の方で構いません。
患者:でもほら、よく言うじゃないですか。鼻からのほうが楽だって。
先生:ああ、それはメーカーの宣伝文句ですよ。確かに「前にやった口から入れるカメラはつらかったけど、今回の鼻から入れるカメラは楽だった」って聞くことがあります。でも、考えてみて下さい。その人は口からの内視鏡と鼻からの内視鏡を同じ条件で試したのでしょうか?
患者:と言いますと?
先生:例えば、一年前と今回を比較することは難しいですよね。去年口から入れたのは太い内視鏡で、今回鼻から入れたのは細い内視鏡だったとしたら? もしかしたら、鼻から入れるのが楽なのではなく、細い内視鏡が楽なのかもしれません。それに、去年は若い先生だったけど、今回は慣れているベテランの先生だったとしたら?
比べる条件が違えば、比べることの意味が薄れます。僕らはそれを「科学的ではない」と表現します。
患者:では、どちらがいいのですか?
先生:結論から言うと、内視鏡が細ければ、口でも鼻でもつらくはないんですよ。こちらのビデオを見てください。
『Oriented Endoscopy 苦痛のない内視鏡』
http://www.youtube.com/watch?v=eYg8qkB-H2I
このビデオでは、細い内視鏡を口から入れています。初めて検査を受けた方ですが、一回もゲップをせず、楽に検査ができました。細い内視鏡を使えば、口から入れる検査でも楽なんですよ。
患者:へぇー、そんなもんなんですね。
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医師プロフィール
西野 徳之 消化器内科
一般財団法人脳神経疾患研究所附属総合南東北病院
1987年自治医科大学卒業後、旭川医科大学第三内科を経て、利尻島国保中央病院などで地域医療に従事。2000年10月より一般財団法人脳神経疾患研究所附属総合南東北病院(福島県郡山市)勤務。2007年より消化器センター長。医師不足の地で診療に邁進しながら、研修医指導にも情熱を傾けている。苦痛のない内視鏡をyoutubeで紹介している。『Oriented Endoscopy- -』http://www.youtube.com/watch?v=eYg8qkB-H2I 著書に「良医となるための100の道標 ―研修医諸君! 本音で「医道」を語ろうー」日経BP社、「ココまで読める! 実践腹部単純X線診断」中外医学社などがある。