アメリカと日本、早く一人前の医師になれるのは?
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日本では高校卒業後に医学部に進学し、6年間勉強すれば医師免許が取れます。アメリカでは、まずはUnder Graduateという大学に4年間通いますがこれは教養部のみです。アメリカの専門科教育は、現在では完全に大学院レベルに移行しており、法学部、経済学部、教育学部、医学部、工学部などはすべて大学院レベルです。弁護士になりたければ大学院としてのロースクールに4年間通いますし、医師になりたければ大学院としてのメディカルスクールに4年間行くという具合です。制度的には、日本の方がアメリカよりも2年早く医師になれるわけです。
しかし一人前の医師となるまでの期間まで考えると、アメリカに軍配が上がります。例えば内科であれば、卒業後に内科研修3年を終えて専門医資格を取ればもう一人前で、それ以上のトレーニングというのはありません(サブスペシャルティーのトレーニングは除きます)。
卒後3年で大学の助教になる人もいれば、開業する人もいます。日本ではどうでしょう。最初の2年間は初期研修ですが、これはアメリカでは、メディカルスクール卒業までに修了済みのトレーニングです。ですから、この段階で前述の卒前教育の2年間のアドバンテージはチャラになります。
アメリカの卒後研修は、日本の後期研修にあたりますが、日本の後期研修が終わった時点で開業できるだけの実力はついているでしょうか? ほとんどの人は、さらに5年から10年の医局や病院勤務で更に経験を積んでから開業するのではないでしょうか。そう考えると、アメリカの方が日本よりも短期間で一人前の医師になれると言えそうです。
医師プロフィール
齋藤 雄司 循環器内科
新潟県出身。新潟大学医学部卒業後、同大学内科研修、大学院修了。血管生物学の基礎研究に従事するためポスドクとして渡米。その後、ロチェスター大学関連病院内科レジデント、カリフォルニア大学アーバイン校循環器フェロー、カリフォルニア大学サンディエゴ校心臓電気生理フェローなどの臨床トレーニングを行う。バッファロー大学内科クリニカルインストラクターを経て、現在は、カリフォルニア州モントレー郡の開業循環器グループに所属。不整脈を含む心臓病診療に従事する。