目と鼻だけではない! 花粉症の症状
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目と鼻以外の花粉症の症状としてまず挙げられるのは、皮膚のかゆみです。目の周り、頬、おでこなど、皮膚が露出した部位に花粉が直接接触することにより、発疹やかゆみが出現することがあります。またアトピー性皮膚炎の方は花粉によって症状が悪化する場合があります。これは花粉によってアレルギーの反応が増強することで、全身的に皮膚の症状が悪くなるためです。かゆみにも注意が必要で、「目がかゆい」とこすり続ける事が網膜剥離の原因となる場合もあります。
花粉症の時期に目立つ他の症状として、咳があります。咳には痰を伴う湿性咳嗽(がいそう)と痰を伴わない乾性咳嗽がありますが、このいずれもがみられます。まず湿性咳嗽ですが、鼻水が喉の方に流れ落ちることで、あたかも痰のように出てくることがあり、これが痰を伴った咳となります。もう一方の乾性咳嗽は、くしゃみと似たメカニズムで出現し、鼻が刺激を受けることで知覚神経から脳に刺激が伝わり、迷走神経を介して咳やくしゃみなどの症状になります。乾性咳嗽は、鼻炎の治療が不十分な方や軽症の花粉症で未治療の方に多くみられます。中には気管支喘息の悪化によって咳や痰が出現する場合もあります。
花粉症の方の中にはゴールデンウィーク前後によく風邪を引くという方もいますが、これは花粉症によって鼻の調子が悪くなることで副鼻腔炎(蓄膿症)を合併している場合が考えられます。副鼻腔炎は気管支喘息の増悪因子であり、肺炎、中耳炎などの原因となることも多いので、このような場合はしっかりと花粉症を治療することが重要になります。発熱、頭痛、咳、黄色痰など多彩な症状を呈し、風邪薬でなんとなく良くなっている場合もありますが、副鼻腔炎は再発を繰り返しやすいため、正確な診断が必要です。慢性副鼻腔炎がある方は花粉に対するアレルギーがなくても、花粉という粒子刺激によって症状が出る場合もあります。
以上のような症状を起こさないためには、シーズン前から治療し、対処することが必要です。
医師プロフィール
杉原 徳彦 呼吸器内科
1981年杏林大学卒業後、杏林大学医学部大学院に進学。その後は2001年まで東京都立府中病院(現多摩総合医療センター)呼吸器科勤務。現在、東京都中野区にある「仁友クリニック」の3代目院長を勤める。他に杏林大学第一内科非常勤講師、全日本スキー連盟アンチドーピング委員も兼務。