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腎臓内科で診療をしていて感じたこと

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記事

腎臓内科医として重症の患者さんや透析患者さんを診療する中で常に考えていたのは、「なぜもっと早く治療介入し、早い段階で病気の増悪を予測し防げなかったんだろう」ということです。

 

CKD(Chronic Kidney Disease:慢性腎臓病)と疑われる方は日本に1300万人以上存在します。腎臓病の原因はさまざまであり、多くは生活習慣病や腎臓本来の病気に起因します。そしてCKDが進行し末期になると透析が必要となり、その他の重大な合併症(心筋梗塞や脳梗塞、認知症、末梢循環障害など)のリスクが健常人の何倍も高くなります。

末期の腎不全に陥る前に、腎臓病が進行する前に、糖尿病の合併症が進行する前に、高血圧が増悪する前に、痛風発作が出る前に、脳卒中で倒れる前に……など挙げたらキリがありませんが、できうる限り事前に病気を予測予防していきたいと考えるようになりました。

その中で、いかに多くの方が以前に何かしらのサイン(健診で尿蛋白を指摘された、血糖値がギリギリだと言われた、スポーツジムで血圧が高めと言われたなど)があったにもかかわらず病院に受診するほどではないと自己判断し放置しているのだろう、と思い当たるようになりました。

確かに尿蛋白が軽度陽性でも体調にはあまり変化はありません。そのために忙しい中時間を割いて病院に行き、長い待ち時間を経て受診しようとはなかなか考えないのだと思います。でも、後になって後悔する前にどうにか病気の進行をくいとめ、できうる限り予防した方が絶対にその人のためになります。少し大きなことを言うと日本の医療費削減にも繋がります。(日本の医療費における人工透析医療の占める割合を知っていますか?)

そう考えるようになり、患者さんにとって腎臓内科医がもっと身近にあるべきなのではと思い至りました。そのために自分のクリニックを開院し、より多くの方が健康管理の一貫として受診できるような場所を提供したいと考えています。そしてそれぞれの方に応じた治療や指導、予防に努めていきたいと思っています。

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医師プロフィール

大森 真帆 腎臓内科

麻布十番クリニック 院長
専門:一般内科・腎臓内科・透析科・抗加齢医学科
昭和大学医学部卒業。生活習慣病(糖尿病や高血圧etc.)などの慢性疾患、感冒やアレルギー性鼻炎などの季節性の疾患など幅広く一般内科の診療を行います。また専門分野である腎臓に関しては、血液や尿検査により適切な診断・治療を行っていきます。生活習慣病や腎臓病は昨今増え続けています。当クリニックでは抗加齢医学の知識を活かして疾患の予防や早期発見にも力を入れています。美容や肥満外来なども扱っておりますのでご相談ください。

大森 真帆
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