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私が「千葉市を日本のシアトルに!」を始めた理由[2]

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千葉市の救命率を「世界一の救命都市」といわれているシアトルに近づけるために、5年間で行ってきた取り組みとその成果とは――。

 

千葉市をシアトルにするためにできることは全部やろうということで、現在は以下の活動を遂行中です。

1:教育委員会といのちを守る教育推進プランの遂行

このプランは学校で子どもたちに命の大切さを教え、医師会は学校医としてそこに協力するというものです。小学校5年生、中学校2年生、高校2年生を対象として、高校卒業までに学校の授業の中で救命講習を3回実施します。3回受講する理由は、1回2回の講習では忘れてしまうからです。まだ頭が柔らかい、好奇心があふれる年代に3回受講することで救急蘇生に容易に協力できるようになるのではと思いました。これにより毎年2万人近くの子どもたちがバイスタンダーの一員になります。

このプランの結果、AED設置場所の理解が50%から100%に向上し、「人助け=大人がやること」というイメージが、「自分たちにもできる」に変わりました。また、AEDキットを家庭に持ち帰り、家族で命について考える機会も増えたようです。さらに、「人が倒れていたら助ける」との回答が、25%から90%前後に増加しました。救命に関する関心や意欲が向上し、自他の生命を尊重する気持ちが確実に芽生えたようです。

2:千葉大・消防局の協力で、医師会会員にICLS(医療者向けの特別な救急蘇生講習会)の受講勧奨

地域のかかりつけ医・学校医・産業医など、医師は医療のリーダーであるべきです。その医師たちが系統だった高度な救急蘇生を指導できるように、年3回のICLS(Immediate Cardiac Life Support:医療者の一次救命処置)講習会を開催し、これまでに107人の方が受講しました。

3:千葉大などの講師の協力で、救急対応力向上研修会の開催

救急対応力向上研修会は、一般救命総論、呼吸器系、循環器系、外傷系、脳卒中系、代謝&中毒系、小児救急、耳鼻科、眼科、泌尿器科、産婦人科など全部で11講座を開催し、さまざまな分野の救急対応を受講します。この全講座とICLSを受講した医師は、千葉市医師会認定初期救急医となります。

4:市医師会認定救急医制度の設立

医師会認定救急医は、初級、中級、上級と三段階あります。現在、初級が約20名、中級が2名、上級が1名です。

5:救急救命士学校の協力で、歯科医師会・薬剤師会と三師会救急蘇生の開催

市民のリーダーという点では、歯科医師・薬剤師も同列です。そこで、三師会BLS(Basic Life Support:一次救命処置)を、歯科医師会・薬剤師会と協力して、救急救命士学校の協力も得て開催しています。忙しい医師・歯科医師・薬剤師が受講しやすいように、平日の夕方7時半から90分のコースです。医療機関の職員も受講可としています。

6:救急タマゴホルダーの紹介

救急タマゴホルダーは正式名をERV(Emergency Rescue Voice:心肺蘇生音声誘導器)といいます。ちょうどバンダイのたまごっちのようなタマゴ型で、真ん中のボタンを押すとピコピコと音が鳴り、100から110の速さで音に合わせて心臓マッサージができます。また同時に救急蘇生のガイドラインが音声で流れ、常に救急蘇生の復習ができます。いつも身近に置いて、イメージトレーニングをするのです。

7:リトルアンの医師会会員への貸し出しシステム(復習のために貸し出し)

救急蘇生は普段から絶えず練習しないと、3カ月も経つと手順を忘れてしまいます。常日頃の研鑽が必要との事で、医師会会員の復習用に貸し出しシステムを作っています。

8:医師会のホームページには、シアトル構想のバナーを作成

医師会、医師会会員、教育委員会・消防局のホームページに「シアトル化計画」のバナーを貼り付けています。また各医療機関のホームページにもこのバナーを貼り付け、この活動を広げようというメッセージを流しております。このバナーにアクセスすると最後のページから消防局のウェブ講習にアクセスします。このバナーをきっかけに、市民のウェブ講習利用を促しています。

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私が「千葉市を日本のシアトルに!」を始めた理由[1]

私が「千葉市を日本のシアトルに!」を始めた理由[3]

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医師プロフィール

中村 眞人 内科

1979年千葉大学卒業、第三内科入局。1986年千葉社会保険病院循環器部長・運動療法部長を経て、1995年なかむら医院を開設。1996年より千葉県&千葉市健康スポーツ医学研究委員会委員・生活習慣病啓発NPO小象の会監事・ちばアートとスポーツの会の理事となり、健康スポーツの普及に努める。2008年より千葉市医師会理事。2010年より「千葉市を日本のシアトルに!」する活動を千葉市教育委員会・消防局・千葉大学・歯科医師会・薬剤師会・救急救命士学校と連携して推進中。

中村 眞人
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