うつ病の客観的な検査とは
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悲しいことや、しんどいことが重なって元気がなくなったとき、ただ落ち込んでいるだけなのか、うつ病になってしまったのか自分では分からなくなってしまうことってありますよね。
患者:最近、愛犬が死んで元気がない日が続いているんです。仕事もしんどいし、休みの日も楽しくなくて……。消えてしまいたいですよ。
医師:それは本当につらいですね。とてもわんちゃんを大事にされていたのですね。本当に悲しいですね。あなたが少しでも元気になられることをわんちゃんもきっと天国で祈っていますよ。
患者:そうですか。でも、やっぱりさみしいですね。ところで先生私はうつ病ですか?
医師:落ち込まれていることは間違いないと思います。もう少し詳しくお話を聞かせていただいてもよろしいですか。ただ問診だけで、うつ病の項目にあてはまる・あてはまらないでうつ病かどうかを決めてしまうより、客観的な脳の検査も併せて判断をさせていただきたいですね。問診だけだと私個人の主観の影響も大きいと思いますので。
患者:うつ病の客観的な検査なんてあるのですか?
医師:そうなんです。光トポグラフィー検査といって、患者さんに負担をかけることのほとんどない検査です。15分くらいの検査で、問診と検査の結果を併せて、うつ病かどうかの判断をさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか?
うつ病は「心の病気」といわれ、問診のみで判断されていることも多いですが、問診だけでは医師の主観による影響も大きく、客観的な検査も併せて診断することが大切になってきます。問診のみでうつ病と考えられる患者さんでも、光トポグラフィー検査を行い、その結果も併せて診断をすると、本当は双極性障害であったということもよくあります。診断が違うとその後の治療方針も変わるため、正確な診断が大切です。正確な診断は、その後の適切な治療につながります。
医師プロフィール
渡邊 真也 精神科
大分大学医学部卒業。松阪市民病院で内科系・外科系研修を行い、その後、松阪厚生病院で精神科医として勤務。精神保健指定医を取得。2014年から新宿メンタルクリニックアイランドタワーに勤務、同年11月に名古屋院の院長となる。丁寧な問診、うつ病の客観的検査である光トポグラフィー検査、治療方針のセカンドオピニオン、副作用がほとんどない磁気刺激治療など、うつ病の診断・治療に精力的に取り組んでいる。