しつこい咳の原因は「鼻」かも……!?
記事
最近、咳の患者さんが非常に増えております。ゴールデンウィーク前後の咳で圧倒的に多いのは鼻副鼻腔炎の方です。
花粉症のある方は、2月から花粉症で鼻の調子が悪くなり、これが副鼻腔炎を合併させます。それによって熱が出たり、口呼吸になるため喉が痛くなったり、あたかも風邪のような症状を呈します。中には市販薬も含め総合感冒薬で症状が落ち着く方もいますが、頑固な咳に悩まされる方もいます。
痰がある方もいればない方もおります。痰が出ている場合は鼻水が喉の方に落ちて、それが痰のようになり、意識的に出す咳となります。また痰が出ずに、突発的に出てくる咳の場合は神経の反射が影響していますので、自分ではコントロールが難しくなります。
咳止めを使うことは、一般的には咳の原因の病気を治せば落ち着くからという理由でナンセンスとされますが、この咳は咳止めを併用しないと止まりません。また黄色い痰が出ている場合は抗菌薬を併用する必要もあり、何よりも大切なのは鼻炎の治療を加えるということです。
最近は咳が止まらない、イコール咳喘息と言われるケースが多く、吸入薬を処方される方が多く見受けられますが、1週間使用して改善がなければ鼻副鼻腔炎治療を優先することが大切になります。
私自身は咳の持続期間が1カ月以内ならば鼻副鼻腔炎治療を行い、それ以上続く場合は鼻副鼻腔炎治療に吸入を加えるようにしております。
前述のごとく、このような咳には鼻の症状が一切ないのも特徴であり、それが医者側に鼻が悪いと気付かせない原因にもなっております。鼻からの咳と考えることがいかに重要かは、患者さんのみならず医師にも知っておいていただきたいと思います。
医師プロフィール
杉原 徳彦 呼吸器内科
1981年杏林大学卒業後、杏林大学医学部大学院に進学。その後は2001年まで東京都立府中病院(現多摩総合医療センター)呼吸器科勤務。現在、東京都中野区にある「仁友クリニック」の3代目院長を勤める。他に杏林大学第一内科非常勤講師、全日本スキー連盟アンチドーピング委員も兼務。