coFFee doctors – 記事記事

なぜこのクリニックは患者数が多いのか? 12の秘密[2]

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 1
  • 2
  • 3

記事

患者数が10万人を超えているクリニック。実習で訪れた医学生たちがその秘密をレポートにまとめました。「12の秘密」の後編です。

《秘密7》わかりやすさが最優先

当院では患者さんの立場に立った医療を行なっているという自負があります。それを端的にあらわしているのが、「わかりやすさが最優先」というコンセプトです。

たとえば、慢性副鼻腔炎などという難しい病名よりも、みんなが使いなれている「蓄膿症」と言ったほうがわかりやすいし、気道の過敏性がどうのこうのと説明するよりも、「エヘン虫が13匹います!」と言ったほうが直観的に理解されやすいですよね。

インフルエンザなどの高熱がつづく場合の水分補給の必要性は、「しおれている花をシャキッとさせるためには、十分に水をやらなければいけません」と説明し、ノロウィルスなどによる感染性胃腸炎のときに食事を控えなければならないのは、食べ物そのものが胃腸の粘膜を刺激するからではなく、消化液の分泌をおさえるためであり、要するに「やけどしたところに塩酸をぶっかけないため」であることを理解してもらいます。

あらゆるシーンで比喩やたとえ話を総動員して、ときには教科書的な正確さをねじ曲げてでも患者さんのわかりやすさを最優先する、これが町医者の医療であるとスタッフ一同認識しています。

 

《秘密8》口コミの力

駅の看板にしても電柱広告にしても、どうしてあのように医療機関の宣伝ばかり多いのでしょう? 私は個人的にあの風景に違和感を覚えるもので、開業以来一度も電話帳以外の広告を出したことがありません。本当はそれも出したくなかったのですが、受付のスタッフが患者さんからの問い合わせに対し、診療時間やクリニックの場所の説明をするだけの時間が取れないとのことで、10年以上粘ったすえ、当院の案内を載せるためにしぶしぶ了承しました。

最近目にした調査によれば、医療機関の受診動機の80%は口コミだそうです。当院は図らずも、口コミの思いがけないパワーを証明したことになります。いま振り返ってみると、当初は接触感染対策であったオリジナルの小冊子も、格好の口コミネタになったのかもしれません。

 

次ページ >> 見ていて気持ちがいい「一生懸命さ」

  • 1
  • 2
  • 3

医師プロフィール

河内 文雄 総合診療医

大学病院を経て、医療法人社団以仁会  稲毛サティクリニックにて「町医者」を務める。「待合室から医療を変えようプロジェクト」代表。

河内 文雄
↑