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INTERVIEW

昭和大学横浜市北部病院

産婦人科

土肥 聡

適切な「EXIT」を広める

「胎児治療」をご存知でしょうか?お腹の中にいる段階で子どもの病気を治療し、症状の完治や予後改善をしていく治療です。その1つに「EXIT」という手技があります。4年前、EXITを完遂させた土肥聡先生は、ある壁にぶつかります。その壁を乗り越えるべく、研究に邁進する土肥先生に研究内容や想いを伺いました。

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胎児治療の1つ「EXIT」に関連する研究を進める

―現在、どのような取り組みをされているのですか?

私の専門は、「周産期医療、胎児診断・治療」です。胎児治療では、お腹の中にいる赤ちゃんの病気を生まれてきてから治療するのではなく、お腹の中にいる段階で治療をします。胎児内視鏡を用いての負担の少ない手術から、負担は大きいですが子宮を切開して胎児に直接手術を行う治療まで、さまざまな種類があります。

そのうちの1つに「EXIT」という手技があります。EXITとは、帝王切開で胎児を分娩するのですが、その際に赤ちゃんの顔だけを出し、お臍を切らずに胎盤からの血流を維持したまま治療を行う手技です。つまり、胎児の顔はお腹の外に出ているのですが、まだ胎内にいるような状態なので、呼吸もしませんし泣きもしません。

その状態でどんな治療をするかというと、先天性上気道閉鎖症や小顎症などで自然呼吸が困難な赤ちゃん、先天性横隔膜ヘルニアや先天性疾患のため自発呼吸を起こさず人工肺の導入が必要な赤ちゃん、先天性肺気道奇形や肺分画症などのため人工呼吸管理下で手術が必要な赤ちゃんの気管に管を入れ、気道確保するのです。

私は現在、昭和大学横浜市北部病院の産婦人科で勤務しながら、小顎症などの胎児に対してEXITを検討するときに、肺低形成の有無が確認できないかということをテーマに研究を進めています。

―なぜ、それを研究テーマにしているのですか?

2013年に出会った、1人の赤ちゃんとそのご家族がきっかけです。それまでは産婦人科医として8年程勤務していましたが、EXIT自体も知りませんでした。

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PROFILE

土肥 聡

昭和大学横浜市北部病院

土肥 聡

昭和大学医学部産婦人科学講座助教
2004年に北里大学医学部を卒業後、東京都東大和市にある東大和病院にて初期研修を修了。救急医としてジェネラルドクターを目指していたが、産婦人科だけ診ないことへの違和感を捨てきれず、2007年金沢大学産婦人科に入局。2014年から現職。現在、昭和大学横浜市北部病院・産婦人科に勤務。

日本産科婦人科学会専門医・指導医
日本周産期新生児医学会専門医(母体・胎児)
臨床遺伝専門医
日本超音波医学会専門医
日本プライマリ・ケア連合学会認定医・指導医
母体保護法指定医
Fetal Medicine Foundationオペレーター
新生児蘇生法(NCPR)インストラクター
J-CIMELS(日本母体救命システム普及協議会) J-MELS(母体救命公認講習会)ベーシックインストラクター
AHA(American Heart Association) BLS(基礎心肺蘇生) インストラクター
AHA ACLS(二次救命処置)インストラクター

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