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INTERVIEW

TXP Medical 株式会社

CSO

後藤 匡啓

臨床研究の基盤を作り、人材を育成する

ER型救急の第一人者 寺沢秀一先生のもとで学び、ハーバード大学公衆衛生大学院・マサチューセッツ総合病院救急部で臨床研究に従事、現在は医療データを扱うベンチャー企業TXP MedicalのCSO(Chief Scientific Officer)を務める後藤匡啓先生。華々しいキャリアに見えますが、山あり谷ありだったとか――。これまでどのようなキャリアを歩んでこられたのでしょうか。また、企業サイドで臨床研究に携わっているわけとは?これまでのキャリアと実現したいことをお話しいただきました。

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医療データをきちんと解析できるチームがない

―現在「医療データで命を救う。」をミッションに掲げるTXP Medical(以下、TXP)でCSO(Chief Scientific Officer)を務められています。具体的にはどのようなことをされているのですか?

TXPでは、医療データを通じて命を救う医療システムの構築を目指し、救急・集中治療・救急隊向けの医療データシステムや医療DX/AI技術の開発・提供を行っています。他にも医療データプラットフォームの構築やリアルワールドデータ解析、臨床研究支援なども行っています。

中でも私の役割は、臨床研究に携わってきた経験を活かし、TXPが開発・提供しているシステムの実装とその評価、そして得られた医療データを解析していく社内リサーチチームで臨床研究を指導・統括・支援していくこと。TXPのプロダクトから収集されたデータを含め、様々な医療データを解析して得られた知見を世の中に発信することで、日本の医療をより良いものにしていくことを目指しています。

TXPに参画して良かったと思うのは、優秀なメンバーがリサーチチームに集まってくれたことです。私一人ではここまでのチームは作れなかったと思います。優秀なメンバーがいることでTXPの信用や評価が高まりますし、それは結果的に会社のメリットとなり、ネットワーキングや案件の受託にもつながります。そして、一緒に活動したいというメンバーも集まります。個人的なことを言えば、私自身がメンバーから刺激を受けることができるという贅沢な環境にあるのも嬉しいですね。

もちろん、研究への意欲がある人なら参画できるようなチームにしていく必要もあるとも考えています。というのも、臨床研究を行いたいのに研究する場がない、データがないという医療従事者は一定数います。キャパシティの問題はあるのですが、意欲ある人たちに来てもらいたいですね。

―臨床研究への意欲ある医療従事者へ門戸を開けているのですね。その背景にはどのような課題感があるのでしょうか?

1つは、世の中には多くのデータがあり、今も新たなデータが生み出され続けていますが、それらを扱える人材が限られていることです。

医療従事者、特に臨床医が研究したいと思っても、そもそも臨床が忙しすぎます。仮にデータを集められたとしてもデータ量が膨大になってしまって解析できず、でも外注できるほどの資金もなく行き詰まっている場面にも遭遇します。データ解析を外注するとしても、金銭面での折り合いがつかない、希望する解析と実際の内容が異なる、などの事例もあります。

TXPのリサーチチームを通して世の中の医療データがどのように生成・利活用されているかを知り、そして実際に研究を行うことで知見がぐっと深くなります。データを持っている臨床の先生方と私たちがチームを組んで研究を進めることもできます。また、企業内のリサーチチームであれば、社会実装にも直接的に携わることができるので、より社会に貢献していきやすいと考えています。

もう1つの課題は、研究の世界と社会をつなげるチャンネルがまだ少なく、研究結果を上手く世の中に届けられていないこと。研究から大河をつくるようにエビデンスに沿った流れを世の中に作っていかなければならないと思います。

SNSをはじめ情報テクノロジーが発展してきて、これまで閉ざされていた医療や研究の世界が社会と近くなってきています。だからこそ、今以上に世の中との接点となるチャンネルを増やしてつなぐことができたら、エビデンスに基づき社会を動かしていくことができるはずです。この点については、個人的にチャンネル作りにも貢献していきたいと考えています。

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PROFILE

後藤 匡啓

TXP Medical 株式会社

後藤 匡啓

MD, MPH, PhD
TXP Medical Co. Ltd., TXP Research, Chief Scientific Officer
福井県出身。2008年福井大学医学部を卒業。同大学医学部附属病院で初期研修を修了。福井大学医学部附属病院救急・総合診療部で後期研修修了。亀田総合病院、西伊豆総合病院、都立小児総合医療センター、千里救命救急センターなどで臨床業務に従事。2015年5月に渡米、ハーバード大学公衆衛生大学院修士課程に進学すると同時にマサチューセッツ総合病院救急部リサーチフェローとして臨床研究に従事。2018年10月より東京大学大学院医学系研究科公共健康医学専攻臨床疫学・経済学講座特任研究員等を経て、2020年2月より現職。

 

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