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しわやタルミを改善する新しいレーザー治療とは

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近赤外線を肌に当てたときの防御作用を利用して、しわやタルミを改善するレーザー機器。最近では口腔内からレーザーを照射する治療法も開発されています。ダウンタイムがほとんどなく、効果が高い点が特長です。

 

太陽光によって肌が劣化することはよく知られており、特に夏至前後のシーズンは「紫外線」が非常に強いので、必ずサンスクリーン剤を使用したほうがよいと言われています。

しかしながら、この数年で皮膚科・美容皮膚科の医師も知らなかった事実が指摘されるようになりました。それは、太陽光の約50%のエネルギーを持つ「赤外線」が肌に及ぼす影響です。

赤外線は水に吸収される性質を持っているので、肌に保湿力のある35歳ぐらいまでは、赤外線の影響はほとんどないと言えます。しかし保湿力のない肌に赤外線が当たると、血管が拡張して皮膚が赤くなるとともに、コラーゲンやエラスチンの減量につながります。

紫外線を肌に当てると、皮下のDNAを守るためにメラノサイトが活性化し、メラニンができることが知られています。これと同様に、強い赤外線をごく短時間照射すると、皮下のDNAを守るためにファイブロブラスト(線維芽細胞)が活性化して、コラーゲンやエラスチンが増加し、保湿力が上がることが分かってきました。

この近赤外線を当てたときの肌の防御作用を利用して肌の若返りを図る研究が始まり、2000年以降、新しい医療機器が開発されてきました。口腔内の粘膜や下眼瞼結膜にレーザーを照射し、しわやタルミを改善する新しいレーザー機器も登場しています。

日本ではレーザー治療というと「シミ取り」を連想しますが、欧米諸国でレーザー治療といえば「スキンリジュビネーション(肌の若返り)」を指し、肌質を改善してハリと艶を復活させる治療を意味します。

多くの患者様は、たとえ効果が高くても痛みやダウンタイムのある治療は望まれません。従来のフラクショナルレーザーによる治療は、皮膚の表面から深層部へ熱エネルギーが伝わり、その作用によってコラーゲンが増加するという利点はあるものの、皮膚表面にも熱傷を生じるので、ある一定期間赤みや痛みなどのダウンタイムがあるのが欠点でした。

一方で、口腔内から照射する新しいレーザー治療は痛みを感じにくいため麻酔の必要がなく、皮膚が赤くなったり腫れたりするようなダウンタイムもないというメリットがあります。

【参考文献】
Adrian Gaspar, Gustavo Alfaro Gasti; tightening of facial skin using intraoral 2940nm Er:YAG Smooth mode : Journal of the laser and health academy Vol 2013, No.2 p17-20 ISSN 1855-9913

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医師プロフィール

藤本 幸弘(ふじもとたかひろ)   美容レーザー皮膚科

クリニックF院長 医学博士 工学博士 M.B.A.
1995年信州大学医学部卒。2004年東京大学大学院医学系研究科修了。東京大学医学部付属病院、東京大学医科学研究所附属病院(東京大学助手)を経て2007年クリニックFを開業。日本におけるペインクリニシャンの先駆者であり医学博士であった祖父の遺志を継ぐ形で痛みの治療を専門とする麻酔科の医師を志す。医師免許取得後に入局した東京大学麻酔科学教室在局中に、体性感覚刺激と自律神経の研究に携わり英文論文を執筆。東京大学医学部附属病院痛み治療外来にて勤務中、光学機器の低出力レーザーを使用する痛みの治療法を知り、レーザー光学治療器を扱う医師になることを目標に据える。日本麻酔学会専門医および日本ペインクリニック学会認定医取得後、工学的ハイテクノロジーと生体医学の双方を扱うことの出来るレーザー皮膚科に転科。その後精力的に臨床と研究、国内外での学会発表を行う。2006年米国レーザー学会(ASLMS)で専門医(Fellow)の資格を取得。2013年には東海大学総合理工学研究科にて電磁気学での工学博士号を取得。数少ない医工学にわたるレーザーの専門家として、国際学会での英語による招待講演も110回を超える。

藤本 幸弘(ふじもとたかひろ) 
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