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若手主体の勉強会で研修医教育を活性化!~関東若手フェデレーションの取り組み~

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総合診療の分野を、どのように勉強していいのか分からない初期研修医向けのイベントがあります。2015年7月に設立された、「面白く、勉強になる」がコンセプトの「関東若手医師フェデレーション」です。創設者・代表である、東京城東病院総合内科の森川暢先生は、親団体である「関西若手フェデレーション」の代表を務められていて、東京城東病院に着任の際、関東に姉妹団体を立ち上げられました。なぜ関東にも立ち上げたのか、どんな内容の勉強会なのか綴っていただきました。

◆総合診療を学べる場を求めて

関西若手フェデレーション(以下、関フェデ)とは、志水太郎先生(当時・市立堺病院 内科)と羽田野義郎先生(当時・洛和会音羽病院 総合診療科・感染症科)が、関西エリアの若手医師のアカデミックな交流と卒後医学教育文化の共有・活性化を目指し、2008年4月に創設した団体です。協賛を付けないことが特徴で、関西一円の若手医師のネットワーク構築、各人のモチベーション向上や情報の共有を目的とし、定期的に若手医師が主体的に勉強会を開催していました。

私は兵庫医科大学を2010年に卒業後、大阪の病院で初期研修医をしていた2年目の秋、関フェデに出会いました。初期研修医中の当時、総合診療を教えてもらう機会がほとんどなく、どのように知識やスキルを身に付けていったらいいのか分からず悶々としていました。そんな折にたまたま見つけた関フェデに参加してみたところ、ケースカンファレンスに基づく症候学の勉強や文献検索についての勉強を行っており、かつ、「おもろい!そして勉強になった!」と思える勉強会で非常に新鮮だったことを、今でも鮮明に覚えています。

◆勉強方法が分からない研修医のボトムアップを目指す

関西一円の研修医のボトムアップを目指すという関フェデのコンセプトに感動した私は、プレゼンをさせてもらったりスタッフとして運営に携わったりして、医師4年目の秋からは代表に就任することになりました。そして、さらに多くの若手医師、特に私のように「学生時代に自主的に勉強会に参加することなく、部活や試験勉強をこなして医師になったけれども、初期研修が始まってみると総合診療についてどのように勉強していいのか分からない」初期研修医が気軽に参加できるように、「問診塾」というワークショップを新たに始めることにしたのです。

「問診塾」ではスタッフを模擬患者として、参加者が問診を行い、それについて模擬患者であるスタッフがフィードバックをする参加型で行いました。最初に問診のレクチャーをするなどの配慮をした結果、61名の先生に参加していただくことができ、「問診塾」は年に1回継続的に行われるようになりました。 

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◆関東でも“関フェデ”を広める

代表を1年務めたのちの2015年、関フェデの創設者の志水太郎先生から東京城東病院総合内科の立ち上げスタッフとして誘っていただいたことで東京に来ることになりました。そこで、「関フェデの『おもろい、勉強になった!』というコンセプトの勉強会を関東でも広めたい」と考えました。

京都で開かれた勉強会で出会った原田拓先生(昭和大学総合内科)と、医学教育への熱意を持つ同志として意気投合し、共同代表を務めてもうらことになり、その他後期研修医や医師10年目までの若手運営メンバーも10名ほど集めることができた2015年7月、関フェデの姉妹団体「関東若手医師フェデレーション(以下、トウフェデ)」を設立しました。理念は、①関東の研修医のボトムアップ、②若手医師の交流、③次世代のリーダー育成の3点です。

2015年12月に東京ベイ浦安市川医療センターで第1回カンファレンスを開催しました。テーマは「心電図・血液ガス」で2名の発表者にレクチャーをしていただき、参加者にはそのレクチャーに基づいて心電図と血液ガスの問題を解いてもらいました。コアスタッフ以外にも当日は6名のスタッフにも臨時で協力してもらうことができ、また、「問診塾」で得たノウハウを生かしながら行うことができました。参加者は50名を超え、アンケートでも90%以上の方に勉強になったと回答していただくことができました。

写真2-(1) 写真3-(1)

◆第二回トウフェデではレクチャー大会を

第2回トウフェデは2016年3月6日の13時から、昭和大学本院でレクチャー大会を行います。トウフェデのスタッフたちが、それぞれ得意とする分野でのショートレクチャーを、「楽しい!勉強になった!」と思える形で届けます。

[レクチャーテーマ(予定)]

森本将矢Dr(聖路加国際病院):「真菌・カンジダについて僕たちが知っておきたいこと」 
古矢裕樹Dr(成田赤十字病院):「こなれたmedical englishの使い方」
藤井達也Dr(山王病院):「”絶対”通る!介護保険主治医意見書の書き方」
森川暢Dr(東京城東病院):「心不全の迅速エコー診断」 
原田拓Dr(昭和大学江東豊洲病院):「アンガーマネージメントを学ぶ…”激おこプンプン丸にならないために”」

⑥平塚 祐介Dr (昭和大学病院) :「禁煙治療について」

 

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医師プロフィール

森川 暢 東京城東病院総合内科

兵庫医科大学を卒業し、住友病院で初期研修を修了。その後洛和会丸太町病院 救急・総合診療科で、充実した3年間の後期研修を修了。2015年度から東京城東病院総合内科スタッフ、2016年度より東京城東病院総合内科チーフ。2015年に関東若手医師フェデレーションを設立し、原田拓先生と共同代表となる。プライマリケア連合学会若手医師部会の会計も兼任。

森川 暢
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