都会の家庭医におすすめ!大自然に囲まれ学べるRural Skills
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RGPJの4つ目の病院が決まった。高知県の最西端、宿毛市にある大井田病院だ。大正2年に医院を開設した、100年以上の歴史ある大井田一族の病院である。先々代の院長 俊朗先生は、九州大学で外科を、名古屋大学で産婦人科を学び地域に貢献していた。先代の院長 二郎先生も外科出身。父親である俊朗先生と朝から晩までお産や手術、訪問診療に明け暮れてきた。そして現在の田中 公章院長も、外科医あがりの救急医である。岡山大学で手術を十分経験した後、ドクターヘリで高知県のへき地や離島を飛び回っていた。現在はヘリを要請する側になり、「ゆりかごから墓場まで」の医療をリードしている。大井田病院の常勤医は6名。こじんまりしており、居心地がよい。
高知県には地域を知るスペシャリストが多い。大井田病院の内科外来にも、宿毛市で生まれ育った消化器内科医として内視鏡を握る傍ら、認知症のオレンジドクターとして活躍する医師がいる。週1回は不整脈のプロも来ているので、聴診と心エコーが徹底的に学べる。教育熱心な皮膚科医も顕微鏡片手に大学から来ている。
木曜日には医師会長の整形外科医が来る。「顔は怖いけど手術は速いですね」とよく言われるのだとか。夏は漁師と化し、朝から船に乗る。冬はクリニックの屋上にある天体望遠鏡で、日本酒を飲みながら星空を見るらしい。風貌に似合わずチャーミングな整形外科医だ。
小児科医も実に面白い。食物アレルギーの啓発に力を入れ、山奥はもちろん近くの離島まで足を延ばす。診察室は驚くほどのフィギュアやぬいぐるみで溢れている。「やっぱりアンパンマンが人気なんですよ」と柔和な顔で言う。子どもたちからの人気は絶大である。きっと、トトロみたいな容姿に安心しているのだろう。居酒屋で目の前に座っていた研修医に対しては、「赤ちゃんも診られるようになるといいですね」と、大量の唐揚げを目の前に、優しく話す。
他にも、階段を二段飛ばしで駆け上がりエレベーターで上がってくる来客を待ち受ける、常に全力投球の事務長もいる。サービス精神旺盛で、研修生の課外授業には「へき地生活充実プログラム」を用意すると意気込む。
愛媛県との県境にある高知県宿毛市の歴史ある大井田病院は、総合診療医に必要な手技系(マイナーエマージェンシー)を学べる病院だ。外来にはお腹いっぱいになるくらい、整形外科や形成外科、皮膚科、眼科、耳鼻科といった内容の患者さんが来る。また、乳幼児健診も含めた小児科診療や、内視鏡も丁寧に学べる。
病院の目の前には宿毛湾に注ぐ松田川が見え、10分歩けばすぐ宿毛湾の浜辺に着く。90分船に乗れば、日本有数の透明度を誇る海に浮かぶ沖の島もある。100年以上地域に愛されてきた病院で、「医療」と「自然」に浸かってみるのも悪くない。都会の家庭医が腕試しをするのにぴったりの環境だ。ゲネプロのPrimary Rural & Remote Trainingに位置付けられる病院で定員は2名。2018年4月より研修開始だ。
医師プロフィール
齋藤 学 救急科
合同会社ゲネプロ
2000年順天堂大学医学部を卒業、千葉県国保旭中央病院にて研修。2003年から沖縄県の浦添総合病院、鹿児島県徳之島徳洲会病院などに勤務し、2015年合同会社ゲネプロを設立、代表に就任する。2017年4月から「日本版離島へき地プログラム」をスタートさせた。
ゲネプロ