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伝える×医師で途上国医療支援に携わる

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記事

葉田甲太先生は、総合診療医として国内の医療機関に勤務する傍ら、2017年にはNPO法人「あおぞら」を立ち上げ、カンボジア、ラオス、タンザニアの医療支援を行っています。その一方で、本を出版し執筆活動にも尽力しています。どのような想いから、多岐にわたるチャレンジをすることになったのでしょうか?

◆医師・NPO法人代表・物書き 3つの顔

―現在取り組んでいることを教えてください。

3つのことに取り組んでいます。1つ目は、総合診療医としての活動です。1年のうち10カ月間は、国内の医療機関で患者さんを診療しています。

2つ目は、残り2カ月間を使った国際協力の活動です。学生時代にも、カンボジアに小学校を建設しましたが、この活動に本格的に取り組むため、2017年にはNPO法人あおぞらを設立しました。現在は理事長として東南アジアのカンボジアとラオス、アフリカのタンザニアで医療支援を行っています。

カンボジアでは、検診のほか、乳幼児のお母さんに対する栄養指導など、保健医療の分野にも力を入れています。ラオスでは、日本人新生児科医師の協力のもと、郡病院とヘルスセンターの医療スタッフの方へ新生児蘇生法を指導しています。タンザニアでは、2018年から子どもの支援活動をしているNGOワールド・ビジョンの協力を得て、病院の設立を進めています。同国タンガ州キリンディ県クウェディボマに、5万人の患者さんを収容可能な病院を開院する予定です。2019年10月からは1000万円クラウドファンディングにも挑戦中です。(URL:https://readyfor.jp/projects/aozora2

3つ目は、学生時代から取り組んでいる、執筆活動。そのうちの1冊『僕たちは世界を変えることができない。』は、向井理氏主演で映画化もされました。2019年11月には新刊の『僕たちはヒーローになれなかった。』を発売予定です。

―なぜ医師だけではなく、「NPO法人の立ち上げ」や「物書き」のように、いくつもの活動を並行して取り組もうと思われたのでしょうか?

それぞれの理由は異なります。NPO活動は、小学生の頃からの想いが原点にあります。当時、「自分は何のために生きているのか」とよく考えていて、それこそ偉人の生き様を記した伝記はたくさん読みました。そして悩んだ末にたどり着いたのが、「社会貢献」でした。

執筆に関しては、医療以外で私が人に影響を与えられる唯一の活動だからです。沖縄の与那国島で診療を担当した時、突然中学生が「あの葉田先生ですか」と言って診療所を訪れてきてくれたことがありました。その子は「先生の本を読んだことがきっかけで、医師になりたいと思っています」と言ってくれたのです。中学生は100名もいない小さな島で、こんな奇跡のような出来事に出会えることに驚きました。改めて、文章を書くことで、人に貢献できることを感じました。

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医師プロフィール

葉田 甲太 総合診療医

兵庫県出身。日本医科大学医学部卒業。長崎大学熱帯医学研修講座や離島での勤務を経て現在は総合診療医として勤務。2017年に設立したNPO法人あおぞら理事長。著書に『僕たちは世界を変えることができない。』『それでも運命にイエスという。』は韓国や台湾でも出版され累計10万部を突破した。2019年11月22日には新刊『僕たちはヒーローになれなかった。』発売予定。

葉田 甲太
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