coFFee doctors – 記事記事

ぎっくり腰になったら? 家庭でできる初期の対応

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 1

記事

突然腰に激痛が……。ぎっくり腰になってしまったときは、どのように対応すればよいのでしょうか?温湿布と冷湿布、ぎっくり腰にいいのは?

「ぎっくり腰」とはよく聞く言葉ですが、そのような名前の病気があるわけではなく、俗称です。西日本の一部の地域などでは「びっくり腰」と呼ばれることもあるようです。医学的な病名で一番近いのは「急性腰痛症」で、文字通りに急に腰が痛くなることをいいます。

 

その原因としてよく聞くものに、重いものを持ち上げたとか、体をひねったとか、くしゃみをしたなどがあります。急に生じた腰痛でも、外的要因で何かにぶつけたなどという場合には「ぎっくり腰」という言葉は使われない傾向にあります。

 

ぎっくり腰への対応ですが、直後から、痛みの無い姿勢・生活動作をとるように心がけて下さい。座っていても痛みがあるならば、最初の2〜3日は安静にして横になるのもいいでしょう。在庫薬で痛み止めがあればそれを内服し、湿布を貼る、コルセットを巻く等の対応が一般的です。

 

温めた方が良いか、冷やした方が良いかとよく聞かれますが、氷で冷やしたりお風呂に長く入って温めたりする必要はありません。温湿布を貼ったら良いのか、冷湿布にした方が良いのかと心配して聞かれる方も多いです。その場合には、使用感の良い方で、とお答えしています。

 

驚かれるかもしれませんが、「温湿布は温める、冷湿布は冷やす」というのは大きな誤解です。湿布には大きな温度変化をもたらす作用は一切ありません(缶コーヒーに温湿布を貼ってもホットコーヒーにはなりません)。冷湿布にはメントールなどの成分が含まれているため冷たい感じがするだけ、温湿布はさらにトウガラシエキスが加わるため温かい感じがするだけなのです。

 

ちなみに温湿布はかぶれやすいので、よっぽど頼まれない限り筆者は日常診療で温湿布を処方することはありません。

 

以上、家庭でできる初期の対応をまとめると、

・無理に痛い動きをしない

・痛み止めの薬や湿布があれば使う

・人によってはコルセットを巻いておくと楽になる

となります。

  • 1

医師プロフィール

吉原 潔  整形外科

1990年日本医科大学を卒業後、日本医科大学整形外科入局。
2004年帝京大学溝口病院整形外科講師、2008年三軒茶屋第一病院整形外科部長を経て、
2015年に医療法人アレックス明大前整形外科クリニック 副院長・アレックス尾山台整形外科 脊椎専門医として勤務し現在に至る。
医学博士、日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会脊椎脊髄病医、脊椎内視鏡下手術技術認定医、
日本脊椎脊髄病学会指導医、日本体育協会公認スポーツドクター、身体障害者福祉法指定医

吉原 潔
↑