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INTERVIEW

医療法人社団KNI北原国際病院 血管内治療 部長

脳神経外科

林 祥史

病院丸ごと輸出!医療は日本を救う輸出産業になる

昨年政府が打ち出した「日本再興戦略」では、医療の国際展開として2020年までに、主に新興国へ日本の医療拠点を10カ所程度開設すると計画しています。
その第一弾となるのが、医療法人社団KNIのグループ企業である株式会社KMSIが出資する事業会社によって、カンボジアの首都プノンペンに新設する計画の救命救急センター事業です。(http://kitaharamsi.com/2018)
今回取材した林 祥史先生(北原国際病院 血管内治療部長)は、若くして株式会社KMSIの取締役としてカンボジア事業の第一線に立ち、救命救急センター設立に向けて挑戦しています。
日本が培ってきたノウハウを活かし、現地の医療技術を育てる「病院を丸ごと輸出」とは?その他、海外での活動で苦労した点、今後の展望などを伺いました。

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日本から海外への持続可能な医療の提供

林先生が責任者をされている「病院丸ごと輸出」について教えてください

簡単に言うと「持続可能な形で途上国に医療を輸出する」仕組みです。
これまでもボランティアとしてアジアやアフリカで日本の医師や看護師が診療をするといった事はたくさん行われていましたが、ボランティアではどうしてもできる事に限界があります。

一つは設備の問題です。私の専門である脳外科の分野では、顕微鏡などの複雑な器材も使用するので、現地でやろうと思ってもできない事がたくさんありました。
もう一つはマンパワーの問題です。ボランティアは支援する側の熱意に支えられた活動であり、熱意が続く間は良い医療が提供できるとは思いますが、資金面での問題や、個々人の状況の変化によって途絶えてしまうリスクがあります。

私達の「病院丸ごと輸出」では、まず十分に設備が整った施設を作ります。この際、全てではありませんが日本製の医療機器を中心に輸出していきたいと思っています。
また医療を提供する医師や看護師などのスタッフの一部は、日本から派遣する事を考えています。ただし全員を日本人で運用していては現地に根付く事は難しいでしょうし、何より人件費が上がってしまいます。そこで、派遣された日本人スタッフは医療を実践しながら現地の医師や看護師を育成し、共に現地に根ざした地域医療を提供する予定です。
設備、人、教育システムなどのノウハウ、これら全てをまとめてパッケージ輸出するという意味で、「病院丸ごと輸出」と言っています。

もちろん病院を維持していくためには、持続可能な事業として成り立たなければなりません。カンボジアには日本のような国民皆保険制度はありませんので、診療した人からいただく治療費でもって病院を運営していく事を目指しています。

私達は2008年からこのカンボジアプロジェクトを開始し、紆余曲折ありましたが日本政府の後押しやカンボジア政府の協力、企業の出資などを得て、2015年末頃にカンボジアで開院するところまで到達したという段階です。

※救命救急センターは、北原国際病院・日揮株式会社・株式会社産業革新機構らが協同出資し、2015年末頃にカンボジアの首都プノンペンにて開院予定。総事業費は総額40億円程度。病床数は50床で、日本人医師も現地に派遣する。

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PROFILE

林 祥史

医療法人社団KNI北原国際病院 血管内治療 部長

林 祥史

2005年 東京大学医学部医学科卒業。その後、医療法人鉄蕉会 亀田総合病院にて初期研修を受け、2007年より 亀田総合病院 脳神経外科に勤務。
2009年から 北原国際病院(旧称:北原脳神経外科病院)に移り、現在は血管内治療 部長兼、株式会社Kitahara Medical Strategies Internationalインドシナ事業統括・取締役を務める。

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