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INTERVIEW

ときわ会常磐病院

血液内科

森 甚一

何もないところから作り上げる

都内では充足している血液内科医。その一人である森甚一先生は都内医療機関の内定を辞退し、福島県いわき市にある常磐病院の血液内科新規立ち上げに携わり、常磐病院の常勤医として東京から通勤しています。そんな森先生は、医師の新たなキャリア形成として、地方に飛び出すことを提案しています。

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いわき市に血液内科医がいない

―どのようなきっかけで常磐病院の血液内科新設に関わろうと思ったのですか?

私は東日本大震災直後から週1回土曜日に非常勤の内科医として手伝いに行っていたんです。震災直後こそほとんど患者さんがいなかったのですが、震災の影響が徐々に収まってきてから、避難先から戻ってくる方々がどんどん増え、外来の患者さんが急増しました。

そんな状況の中で、ある白血病の患者さんに出会いました。血液内科である私に相談が来た段階では、すでに病状がかなり進行してしまっていました。それまで専門的に診てもらえていなかったのです。当時私はその日のうちに東京に帰らなければならず、すぐに専門医のいる病院に入院させようと紹介先を探したのですが、いわき市唯一の専門機関からは受け入れ困難との返答でした。

例えば消化器系や循環器系などと比べると、血液疾患に罹患する患者は多くないため、内科の中ではマイナーなサブスペシャリティと言われます。しかしその分、診療には専門的な知識が必要で、専門外の医師には手出しができない領域でもあり、この地域に必要な診療科としてやはり血液内科はあったほうがいいと、痛切に感じました。

そうは言っても、まさか自分で立ち上げるとは考えてもいませんでした。たまたま常磐病院のスタッフや関係者との食事会でそのようなことを言ったら、「常磐病院に血液内科を作ってみない?」と言われました。「その発想はなかった!」と思い、一つ返事で承諾しました。

―決断がとても速いですね。

もともと何もないところから作り上げるということは好きだったんです。そのためこちらに来たほうが、やりがいがあるのではと感じました。

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PROFILE

森 甚一

ときわ会常磐病院

森 甚一

ときわ会常磐病院 血液内科医
東京都出身。2007年順天堂大学医学部卒業、都立駒込病院にて初期・後期研修医として6年間勤務。その後、基礎研究を学ぶべく東京大学大学院新領域創成科学研究科メディカルゲノム専攻に入学。2016年3月に卒業、翌4月から現職。

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