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総合内科で「緩和ケア」を提供したい

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医師5年目の湊真弥先生は、総合内科で緩和ケアの視点を持ち、医療やケアを提供したいと考えています。その理由とは――?

◆志はあるが診療科が決まらない

―練馬光が丘病院 総合診療科に赴任されるまでを教えていただけますか?

私の祖父は開業医で、その姿を小さい頃から見て育っていたので、幼少期から医師に対する憧れはありました。本格的に進路を考えたのは、中学2年生。その祖父が亡くなり、自然と医師を志していました。

どの診療科に進むかを本気で考え始めたのは大学5年生の頃でしたね。それまでも見学や実習で回る診療科はどこも魅力があるものの、「この科に行きたい!」と思える決め手はありませんでした。5年生の時に回った診療科で「何科に行きたいんだ?」と聞かれて初めて、本気で進路を考え始めましたね。その時に頭をよぎったのが祖父の死でした。

「人が亡くなるときに医師がやれることは何だろう」と考えるようになり、それがきっかけで緩和ケアをやりたいと思うようになったのです。ところが、緩和ケアがやりたいと決まったものの、どの診療科に進めばいいのかは分からず、進むべき診療科は結局なかなか決められませんでした。

そんな時、先輩から紹介された手稲渓仁会病院 家庭医療科が、自分のやりたいことに近いと思い、ようやく初期研修先の病院を決めることができました。3年間、手稲渓仁会病院で研修を受け、結婚が決まったこともあり、4年目からは練馬光が丘病院の総合診療科に勤務しています。

◆総合内科で緩和ケアに取り組みたい

ー緩和ケアに携わりたいと考えている湊先生。具体的には、どのようなことに取り組みたいのですか?

私は、疾患にとらわれず、患者さんの生活の質を下げている医療的問題を解決していきたいと考えています。その役割を担うのは緩和ケアであり、これを総合内科医として取り組みたいと考えています。さらには、このような視点を持った人を増やしていきたいと考えています。

統計学的には、国内でがんで亡くなる患者さんは全体の3分の1です。残りの3分の2の患者さんは緩和ケアによって困ったことを取り除くという選択肢を与えられないまま、亡くなられている可能性があります。そのような方々を1人でも減らしていきたいのです。

―湊先生の考える緩和ケアとは?

医療の現場に出てみて痛感したのが、患者さんの希望や価値観が考慮されないことが多いことでした。疾患に対するマネジメントや、ご家族の希望が優先され治療方針が決まる場面に多く遭遇しました。

本来は、患者さんの希望が優先されるべきだと思います。患者さんの希望をしっかり聴きながら疾患に対する治療のゴールを定め、生活の質の変化を検討する。そのうえで、患者さんが生活の中で大切にしていること、何に苦痛を感じるのかをしっかり聴き、患者さんの価値観を尊重できるように、可能な限り苦痛を取り除くためのケアを検討する。これらの過程全てが緩和ケアだと考えています。

ーなぜ総合内科で緩和ケアなのですか?

現在、国内の緩和ケア科の多くは、がんの緩和ケアに取り組んでいます。最近、少しずつ心不全の緩和ケアに目が向けられ始めるなど、非がん領域の緩和ケアが進みつつありますがまだまだです。一方、高齢化が進む中で、がん以外の疾患に対する緩和ケアの重要性や、緩和ケアの視点を含めた医療の組み立ての重要性を緩和ケア科の先生方だけでなく多くの先生方が認識されていると思います。ところが、実践にまで落とし込めている現場は多くないのではないでしょうか。

もちろんいずれの現場でも、がん以外の疾患に対する緩和ケアを取り組もうとしている先生方はいらっしゃるかもしれません。しかし私自身は、横断的に他の診療科と連携し、プライマリケアと専門科の橋渡しの役割ができる総合内科であれば、他の専門医や多職種とのコミュニケーションを密に取り、スムーズに最善の医療とケアを検討してく潤滑油のような役割を担えると考えているのです。

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医師プロフィール

湊 真弥 後期研修医

東京都出身。2014年東京慈恵会医科大学を卒業後、手稲渓仁会病院にて初期研修。2017年より練馬光が丘病院総合診療科にて研鑽を続けている。

湊 真弥
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