現地に赴任した女性医師が語る! エボラ体験記リベリア編[3]
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米国をはじめ、国内外多くの援助団体により強化されたエボラ対策。一方、本当に必要なところに支援が行き届いていない印象も。
私がリベリアに到着して10日程経った9月13日に、リベリアのエレン・ジョンソン・サーリーフ大統領から米国のオバマ大統領へ公式に支援が要請された。それを受け、米国側からもエボラ対策のために米軍派遣を決定した。
私はリベリア滞在期間のほとんどをマージビ郡で過ごしたが、時折首都に戻ると、続々と米軍関係者がやって来ているのを実感した。リベリアはもともとアメリカの解放奴隷によって1847年に建国され、古くからアメリカがリベリアの内政にかかわってきた経緯がある。私が米国の機関に勤務しているために米国の動きが目につくのかもしれないが、こういった歴史的背景もあってか、米国はリベリアのエボラ対策にかなり力を入れている印象であった。
もちろん支援に当たっていたのはCDCや米軍だけではない。国境なき医師団チームは、初期からエボラ治療施設の設置と実際の治療に関わってきたし、世界保健機関(WHO)、国連児童基金(UNICEF)などの国際機関もリベリアに多くのスタッフを送り込んでいた。アフリカ連合、キューバも医療スタッフの派遣を決定しており、国内外の様々な非政府組織(NGO)も現場で活動していた。
一方、ニューヨークタイムズ紙では、リベリア政府と援助団体との間で統制が取れていないことが指摘された。あまりにも多くの団体がエボラ対策にかかわっていたため、私の滞在時も、本当に必要としているところにうまく支援が届いていない印象があった。
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医師プロフィール
小林 美和子 感染症内科
世界何処でも通じる感染症科医という夢を掲げて、日本での研修終了後、アメリカでの留学生活を開始。ニューヨークでの内科研修、チーフレジデントを経て、米国疾病予防センター(CDC)の近接するアメリカ南部の都市で感染症科フェローシップを行う。その後WHOカンボジアオフィス勤務を経て再度アトランタに舞い戻り、2014年7月より米国CDCにてEISオフィサーとしての勤務を開始。