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世界中の子どもたちに多様な選択肢を

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記事

医師4年目の古東麻悠先生。子どもの頃の経験から小児科医を志し、現在後期研修中です。同時に、病院外での活動も精力的に行い、両方にやりがいを感じています。しかしここに至るまでには、医師になることを辞めようと考えたこともあったとか――。どのような想いを抱きながら、小児科医としてのキャリアを歩み始めたのでしょうか?

◆「世界×子ども」を軸に働きたい

―医師を目指したきっかけから教えていただけますか?

私は、もともと医師になることよりも、子どもに関わる仕事がしたいと考えていました。

そのきっかけは、1才から8年間アメリカ・ニューヨークで暮らしていたこと。9才で帰国してからは、日本で生活してきましたが、アイデンティティやマイノリティーについて考えることが多く、それらが人格を形成する上で大きな影響を与えました。この特殊な経験を子どもたちのために活用したいと思ったのです。

あとは、帰国直後にアメリカ同時多発テロ事件が起きたことも将来を考える上で影響がありました。アメリカにいた頃、友人だった民族同士が争っているのが不思議だったのですが、それ以上に、日本の学校の友人たちの間で、同時多発テロについての話題が一切上げることがなく、その関心のなさに疑問を感じたのです。

そこから徐々に、世界中の人とのつながりを持ちつつ、子どもを軸にした働き方をしたいという意志が固まりました。その後、高校生になって本格的に医師を目指すようになりました。

―順天堂大学医学部を卒業されてから病院外での活動を積極的にされていますよね。

そうですね。医学生の時には、バックパッカーをしていたのですが、自分が見たい世界を見に行っているだけで、それを誰かのために応用できていないもどかしさがあったんです。

それで、ずっと周囲の人に「こんなことをやりたい」と話していたら、出会いがあり、今の活動に発展していきました。自分がすごく前のめりに始めたわけではありませんでしたが、やりたいことを外に向けて言っていたのは良かったなと思っています。

―今の具体的な活動内容を教えていただけますか?

NPO法人Ubdobeと、NPO法人very50という団体を中心に活動しています。

Ubdobeでは、まだ駆け出したばかりで模索しながらですが、子どもの視点とデジタルアートで小児医療・療育を革新していく「デジリハ」というプロジェクトのメディカルアドバイザーをしています。

音楽やテクノロジーに携わっている人たちは、自分たちの技術を社会貢献に活用したいという思いを持っていますが、医療現場に落とし込むのが課題でした。そこで、デジリハという、リハビリの動きで映っている風景映像がガラッと変わるプログラミングを構築しました。リハビリを受ける子どもごとに鍛えたい筋肉が変わるので、理学療法士の方と一緒に一人ひとりにあったリハビリ箇所や無理のない範囲はどこかを考えています。さらに、楽しいだけではなく、医学的にも効果があることを実証し学会等で発表したいので、エビデンス集めをしています。

very50では、高校生たちが途上国や新興国にいる社会起業家の元に行き、事業の組み立て方を学び、実際に事業プランを練るプロジェクトを提供しています。私は、出発前の高校生たちに対して、親御さんが安心して送り出せるように安全管理などの事前講習や、現地入りした後に何かあったときの遠隔相談窓口をしています。

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医師プロフィール

古東 麻悠 小児科後期研修医

1989年生まれ。9歳までニューヨークで育つ。2015年順天堂大学医学部を卒業、同大学附属病院にて初期研修修了。2017年から国立国際医療研究センター小児科にて後期研修中。NPO法人UbdobeやNPO法人very50など病院外での活動も精力的に行っている。

古東 麻悠
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