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こころの健康診断が始まります

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職場のメンタルヘルス対策の充実・強化等を目的として、2015年12月より、従業員数50人以上の事業場に「こころの健康診断」であるストレスチェックテストの実施が義務付けられます。

         

◆ストレスチェックテストとは?

ストレスチェックテストとは何でしょう? 簡単に言うと、年に1回、からだの健康診断や人間ドックを受けるのと同じように、自分の心の状況やストレス、不安、悩みの有無、それによる身体の反応(症状)の有無を調べるというものです。

ストレスチェックテストの結果、ストレスが多い人を「高ストレス該当者」、多くない人を「高ストレス非該当者」に分類します。高ストレス該当者がうつ病の予備軍というわけではありません。それなりにストレスを抱えている可能性があるため、産業医等の専門家への相談を勧められる人という意味です。

高ストレス該当者が専門家への相談を希望した場合、会社は産業医や医師、保健師、看護師等による面接の機会を提供しなければなりません。この面接の結果、高ストレス該当者が働く上で何らかの注意や制限(配置転換や労働時間の短縮など)が必要な場合は、産業医か医師がそれを会社に指示できることとなっています。

 

◆ストレスチェックテストは義務なの?

からだの健康診断(いわゆる定期健康診断)は、企業には実施義務が、従業員には受診義務があります。一方、ストレスチェックテストは、従業員が50人以上いる事業場は実施する義務がありますが、従業員数が49人以下の事業場は努力義務です。

一般健康診断の結果は事業者にも通知されますが、ストレスチェックテストの検査結果はプライバシー保護の観点から、医師または保健師より労働者に直接通知され、労働者の同意を得ずに会社に提供することはできません。また、高ストレス該当者が専門家による面接を申し出たとき、そのことを理由に該当社員に不利益な扱いをしてはならないとされています。

しかし、ストレスチェックテストの結果は、からだの健康診断よりも人に知られたくないと考える人が多いだろうと思われるため、受検は任意であり、従業員には受検義務はありません。

 

◆ストレスチェックテストは何を調べるの?何を聞かれるの?

厚生労働省は現在、標準的な57質問を提示し、以下の3分野について調べるようにしています。

○仕事の量、仕事の質、コントロール度、職場の人間関係等に関する質問で「ストレス要因」について

○上司、同僚、友人、家族などの「周囲のサポートの有無」について

○疲労感、抑うつ感、不安感、イライラ、身体愁訴等々の「心身のストレス反応」について

しかし、各事業場で独自のチェック項目を作成しても構わないという見解も示されていますので、企業によってはもっと少ない質問項目数や、逆にもっと多く200問くらいの質問項目数で実施することも可能です。

 

◆ストレスチェックテストは本当に効果があるの?

ストレスチェックテストを実施することにより、ある集団でうつ病の人が減ったなどの医学的エビデンスは(まだ)ありません。また、専門家の人たちからは、以下の問題が指摘されています。

・高ストレス群該当と判定された方の中には、実際にはメンタル不調ではない方が多く含まれ、対応が非効率となる可能性がある

・個人のストレス症状・不調のみしか把握できず、職場環境の改善など一次予防(未然予防)につなげることは困難である

それでも、こころの健康診断は始まります。その効果はまだわかりません。わかっていることは、ストレスチェックテストの開始は多くの企業にとって、人、お金、時間のかかるものであることです。また個人にとっては、誰もが年に1回は、「ストレス」や「こころの健康」について考える機会になるだろうということです。

一般社団法人日本ストレスチェック協会では、2015年12月に始まるストレスチェックテストに関して、企業も個人も誰もが、安心して、簡単に、無料で使えるシステムの提供を考えています。そして、世の中みんなが笑顔で幸せに過ごせるように、不安やストレスで悩まない技術、実践的なストレス対策についての情報を発信してきたいと考えています。

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医師プロフィール

武神 健之 産業医

一般社団法人 日本ストレスチェック協会 代表理事
1998年 神戸大学医学部卒業後、東京大学医学部付属病院、キッコーマン総合病院等に勤務。東京大学医学部大学院在籍中の2005年に有限会社ジーエムシーを設立し様々な企業の産業医を新規立ち上げから請け負う。年間約1000人の産業医面談を行ってきた経験から、2014年に不安とストレスに悩まない技術を広めることを理念として一般社団法人日本ストレスチェック協会を設立し、現在に至る。

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