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埼玉県で在宅医療もできる地域密着型医師になる

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医師6年目の桐谷知美先生の目標は、「在宅医療も含めた地域医療に携わる」こと。実現するために、どのような道を選択したのでしょうか。

【後期研修を受けるまで】

自分が学んだ分だけ人の役に立てる職業だと思い医師を目指しました。大学は千葉大学。千葉大学を選んだ理由は、総合診療科が有名だったからです。専門外のことは他科に紹介するのではなく、まず自分が窓口となり何でも聞いてあげられる医師になりたいと思い、総合診療科に進みたいと考えていたのです。

国立国際医療研究センターで初期研修修了後、後期研修は東京医療センターの総合内科で受けることにしました。理由は、急性期病院で総合内科の病床が約70床と多く、多くの症例を積めると考えたからです。あとは、初期研修の1学年上の先輩がいらっしゃって、興味があると相談したら熱心に誘ってくれたことも大きいですね(笑)。

【悩み】

結婚し子どもを産んだことで、色々と考えることが増えました。1つは、やはり忙しい病院なので同僚や後輩が遅くまで仕事をしているのを横目に、自分は保育園のお迎えに間に合う時間に帰らせてもらったり、子どもの体調不良で突発的に仕事を休んだり、それらのことで同僚に自分の仕事を任せたりしなければいけないことに対して、どうしても申し訳ないという思いがあり、また「ここで、自分は本当に役に立っているのか」と悩みました。

また、将来的には夫の職場がある埼玉県で地域に根付いた医療をしていきたいと思うようになったこと。在宅医療にも関わっていこうとすると、今までの急性期病院で培ってきた知識や経験だけでは不十分だと思うようになりました。地域では、“内科”だけでなく皮膚科や耳鼻科などマイナー科も診られたほうが、患者さんにとってはメリットになります。プライマリケアの段階で診ることができれば、患者さんにとって病院まで行く負担がなくなるからです。

【選択】

悩んだ結果選んだ道は、1年間、高知県宿毛市にある大井田病院で内科医として働きながら皮膚科などマイナー科の経験を積めるプログラムに参加する道です。このプログラムは、離島・へき地でジェネラリストを育成するプログラム「Rural Generalist Program Japan(RGPJ)」です。

離島・へき地に行けば、医師が少ない分経験はたくさん積めますし、内科医としての戦力にもなれます。離島・へき地に行くことを尻込みしてしまう理由として、モチベーションが保てるか、フィードバックがきちんともらえる体制が整っているかということがあると思います。幸いRGPJでは、その不安を払拭できる環境を整えてくれていました。また、大井田病院は勤務時間が伸びることが少なく、地域の方々が当たり前のように他の家の子どもの面倒を見てくれるような環境なのも、背中を押してくれました。

【ビジョン】

私は、最終的には埼玉県で在宅医療も含めた地域医療に携わりたいです。

在宅医療では、自分の診られる診療科が多ければ多いほど、私一人で患者さんの困っていることを解決でき、患者さんやご家族の負担が減ります。そのためにまずは、医師数が少なく、1人ひとりへの責任が増す環境下でしっかり成長し、1年間の研修後は緩和ケアの勉強もしながら急性期病院では不十分だった知識を身に付け、幅広く患者さんの相談に乗れる地域の医師を目指します。

(インタビュー/文:北森 悦)

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医師プロフィール

桐谷 知美 内科

東京都出身。2011年千葉大学医学部卒業後、国立国際医療研究センターで初期研修、東京医療センターの総合内科で後期研修を受ける。2018年4月より合同会社ゲネプロが主催する「Rural Generalist Program Japan(RGPJ)」での研修予定。

桐谷 知美
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