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INTERVIEW

トーマスジェファーソン大学病院

心臓外科

廣瀬 仁

アメリカならではの心臓病治療とは

診断も治療も進んでいたアメリカの医療。特に心臓外科の領域では多くの医師がアメリカに憧れ、留学していた。では、現在はどうか。心臓外科領域を通して見えてくる、日本とアメリカの医療に対する姿勢について話を聞いた。

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細分化された専門スタッフがチームで診る

心臓外科医の立場から見て、アメリカの医療が良いのはどのような点ですか?

1人の患者さんにさまざまな医師やセラピストなどがチームとして関わる点ですね。アメリカの心臓外科手術では、心臓外科医のチームに加え、集中治療室の医師、循環器内科医の他、理学療法士やケースマネージャーなども入って治療方針を決定します。そのため、主治医が退院して良いと判断しても、他のスタッフがまだだめだと言えば退院できません。チーム内には垣根がなく、連携しながら患者さんに関わっていくので、合併症を起こした際も手厚くケアを受けられるのは、アメリカの医療の良いところだと思います。

入院期間は、やはりアメリカのほうが短いですか?

そうですね。アメリカは短いです。日本では入院してから術前検査をして、手術後にリハビリを行い、退院までに10〜14日はかかっているのではないでしょうか。アメリカでは検査は外来で行っておき入院当日に手術をします。術後は集中治療室(ICU)に1〜2日入り、5日程度で退院してもらうことを目標にしています。退院後の受け皿も整っており、手術で筋力が落ちた患者さんはリハビリの専門病院へ、人工呼吸器をつけた患者さんは人工呼吸器の離脱に特化した専門の病院へ、というように、自宅に帰れない場合でもすぐに転院できる体制があります。

 

入院期間が短い背景には、医療費が高いので患者さんが早く家に帰りたがるという事情もあると思います。アメリカでは保険なしで一日入院すると、一般病棟で約2500ドル、ICUでは約7000ドルかかり、あっという間にお金がなくなってしまいます。以前、アメリカ旅行中に心臓発作を起こした日本人患者さんがいました。カテーテル治療を行ったのですがそれでは治せず、緊急でバイパス手術を行いました。術後に合併症を起こしてしまい、ICUに約3週間、一般病棟に約1週間入院して、病院からの請求はなんと1億円を超えていました。

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PROFILE

廣瀬 仁

トーマスジェファーソン大学病院

廣瀬 仁

1990年、長崎大学医学部卒業。英語の勉強のために渡米。セントルークス・ルーズベルト病院にて研修。一度日本へ帰国し長崎大学病院、新東京病院、小張病院にて外科認定医、胸部外科認定医を取得後、2002年に再び渡米。クリーブランドクリニック、ドレクセル大学ハネマン病院を経て、現在のトーマスジェファーソン大学病院に至る。

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