coFFee doctors – ドクターズドクターズ

INTERVIEW

秋葉原内科saveクリニック

内科

鈴木 裕介

メンタルヘルスをライフワークに秋葉原で開業

秋葉原内科saveクリニック院長の鈴木裕介先生は、人生に生きづらさを感じる人へのメンタルヘルスに尽力しています。しかしその関わり方は独特で、精神科や心療内科ではなく、趣味を極めたライフワークとしての取り組みをしています。過去には、高知医療再生機構や、医療機関経営の経営コンサルタントなどの経験もした鈴木先生が、なぜ1クリニックで、来院者一人ひとりと向き合う時間を確保するようになったのか、お話を聞きました。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 1
  • 2
  • 3

ライフワークを継続するため開業を決意

―現在の取り組みを教えてください。

2018年に秋葉原内科saveクリニックを3名の医師と開業し、私は院長として外来診療に携わっています、平日16時半から21時までという診療時間で開院しており、ビジネスパーソンにも会社を休むことなく、気軽に立ち寄っていただきたいと考えています。

秋葉原に開業したのは、私がコンテンツの力に救われた経験があるからです。大きな喪失体験をした時、「ドラクエ11」に救われたのです。開業するならば、コンテンツを生み出す街・秋葉原に、と思いました。

一般の内科外来とは別にライフワークとして、時間外の紹介予約制で人生を生きづらいと思っている方々のためのメンタルヘルスケアに取り組んでいます。彼らがどうやったら今より生きづらくなくなって、ハッピーになるかを考えたりしてます。個人的に今の時代にハッピーに生きるのがかなり難しいなと思っていますが、そういうのを誰かと一緒に真面目に考える機会があるので、自分自身の人生を豊かにする上でもすごく参考になりますね。

―生きづらいと思う方々の役に立ちたいのはなぜですか?

成り行き上というか、心惹かれたのが先なので理由はあとづけですが、1つ挙げるとすれば、生きづらさをもっている人って、子どもの頃、身の回りに安心がない環境で過ごした時間があったりするんですよね。そういう環境で彼らが生存していくために身に着けた知性に惹かれます。例えば、誰が自分に対して攻撃心を持っているかなどを見抜く洞察力や、凄まじい人間観察力、状況把握力がある。そういう人たちとの会話の中で、自分自身が学ぶことがものすごくあり、人間というものへの理解が深まり、感覚が磨かれていくことが楽しいんです。

もう1つ挙げるとすれば、彼らとコミュニケーションを続け、ちょっとした分かり合いが出てきた時に、いろんな変化が見られることですね。たとえば、ずっとうっすら「死にたい」と思っていた人が、何かのきっかけで「もう死ななくていいかも」と思ってくれる瞬間がある。そういうときの表情とか雰囲気の変化が本当に劇的で、これを間近で見られる役得感が半端ないです。生きる力の強さみたいなものすごい感じて、超ロマンティックだなあと。

―しかし、精神科や心療内科ではなく内科として開業されたのですね。

不謹慎に聞こえるかもしれませんが、私にとってのメンタルヘルスは、あくまでもライフワークというか、趣味の延長みたいなものだと思っていて――。治療者というよりは、人間として関りたい。医師として関わるよりも、関わろうとする人間がたまたま医師だった、程度の感覚で考えてます。自分はあくまでもメンタルヘルス好きの内科医だと思っていて、職業として精神科医をやるにはメンタリティがあまりにも違いすぎますし、あまり向いていないとも思っています。

また、生きづらさにしっかり関わろうと思ったら、生活なども含めてものすごいエネルギーを割かないといけない。でも、自分がかけられる想いや時間には限りがある。今関わっている人は、もともと関係性がある人がほとんどで、それで精一杯なのが現状です。そのため、今は自分が関われる範囲の人に全力で関わるほうがいいと思いました。

自分のやりたいことをライフワークとして続けていくために、どう生活を整えるかを考え、基本は内科のクリニックとして開業しながら、時間外でごく少人数と納得いくまでじっくり時間をかけてコミュニケーションを取れる、今のスタイルが合っているかなと思い至ったのです。自分の場所を持っていることの利点をひしひしと肌で感じつつ、これまでにやってきたことを、この場でブラッシュアップしている感じです。

  • 1
  • 2
  • 3

PROFILE

鈴木 裕介

秋葉原内科saveクリニック

鈴木 裕介

秋葉原内科saveクリニック院長。2008年高知大学医学部卒業。同大学附属病院にて初期研修修了後、各地の病院や診療所で一般内科・へき地診療・在宅医療を経験。その傍ら、高知県庁内の地域医療支援機構である高知医療再生機構で、広報や医師のリクルート戦略、医療者のメンタルヘルス支援に従事。同時に医療介護を他職種で学ぶ私塾「RyomaBase」を設立。2015年には組織の「弱い立場の人」に負担が集中する医療の現場をなんとかしたいと考え、マネジメントを学ぶためハイズ株式会社へコンサルタントとして転職。2018年9月に秋葉原内科saveクリニックを開業、現在に至る。数々の病院の組織改善に関わる。

↑