coFFee doctors – ドクターズドクターズ

INTERVIEW

川崎市立井田病院 かわさき総合ケアセンター

内科(緩和ケア、腫瘍内科、在宅医療)

西 智弘

病気の人も食べやすい、美味しいメニューを!

病院によって、施設中にレストランがある事をご存知ですか?実際にそこで食べたことがある方もいるかもしれません。その時の印象はどうだったでしょうか。
健康のためには、「減塩・粗食」が良いと言われますが、本来は身体の状態に合わせて必要な栄養をとり、美味しく食事をすることが大切です。
今回は、それを病院内のレストランで行っていこうと活動している、西 智弘先生に取材しました。マスターが丁寧に挽いてくれるコーヒーの心地よい香りに誘われて、西先生の美味しい健康の話がはじまります。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 1
  • 2
  • 3

病院食ではなく、病院内のレストランをサポート

早速ですが、先生の病院で行われている、レストランサポートプロジェクトについて簡単に教えていただけますか。

多くの方に、美味しく食べて健康になってもらうために、自分の病院の特性を活かした病院内レストランを作っていく、そういうプロジェクトです。それも、医療者側が押し付けでやるのではなく、患者さんや市民の方と一緒に「うちの病院らしいレストラン」を作ろうとしたのが始まりです。

入院患者さんに提供する病院食ではなく、病院内にあるレストランをサポートするということなんですね。

そうです。病院での食事というと、どうしても健康管理に偏りがちですが、そうではなく「美味しくヘルシー」「美味しく減塩」がテーマです。また、特に食事制限がない人でも、病院に美味しい食を楽しみにきてもらえれば、という思いもあります。病院は基本的に目的がないと行かない場所だし、怖いイメージがあるでしょ。でも、図書館みたいに、病気以外でもふらっと来てもらって、そこで健康の知識が得られる公共の場所になればいいなと。レストランを通じて、そういうことができればいいなと思っています。

 地域を巻き込むプロジェクト

ちなみに、きっかけはどんなことだったのでしょうか?

事務の方から「レストランにあまりお客様がこなくて困ってる」という話を聞いたことが始まりです。普通の医師ならスルーするようなことですが、自分は「面白いことができるかな」と思いました。

ではそこからどんな風に進めていったのですか?

スタートは2012年5月頃で、このプロジェクトに興味を持つ人が、院内で7名集まりました。そのメンバーとの話し合いの中で、病院の外の方の意見を聞こうということになり、1か月後にfacebookで院外の方に声をかけて、ワールドカフェを行いました。
ワールドカフェとは、いくつかのグループに分かれて対話しつつ、時間で区切って一人ずつ交代で他のグループを回っていく対話式ワークショップです。医師や患者さん以外に、カフェの経営者の方など、様々な方が30名くらい来てくれました。

そこで出たアイデアを元に、更に話し合いをしていった結果『和食』『薬膳』『食べられない人たちが食べやすい、からだにやさしい定食』というテーマが挙がり、最終的に、『食べられない人たちが食べやすい、からだにおいしい定食』に収斂していきました。

ida130511-4 DSCN0387

  • 1
  • 2
  • 3

PROFILE

西 智弘

川崎市立井田病院 かわさき総合ケアセンター

西 智弘

2005年北海道大学医学部卒。家庭医療を志した後、緩和ケアに魅了され、緩和ケア・腫瘍内科医として研修。 2012年から川崎にて、腫瘍内科-緩和ケア-在宅ケアをトータルで診療するシステムを創り、「がんの包括的ケア」と「地域包括プライマリ・ケア」の実現を目指す。レストランサポートプロジェクトなど地域と一体となったプロジェクトも複数行なう。

 

MOVIE

↑