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ビジネスで得するプロが教えるウォーキング講座

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誰もが何気なく行っている「歩く」という動作。しかし正しい歩き方を知っている人はあまり多くありません。「正しく歩く」ことから健康を見直そうと活動を始めた、ジャパンヘルスケアのワークショップに参加してきました。

ジャパンヘルスケア主催の「忙しいビジネスパーソンのための時短ウォーキング」が11月22日に新宿で行われました。参加者は約20名。タイトルにもある通り、20代から30代の社会人の方が多く参加されていました。参加者は3時間で正しい歩き方を講義とレッスンから学んでいきます。講師は日本ヘルスファウンデーション協会代表理事の中村尚人先生です。中村先生は理学療法士・ヨガ講師であり、現在は自らまとめ上げたピラティスメソッドやウォーキング法の指導者育成をはじめ、執筆活動、各種講演、日々の運動指導に携わっていらっしゃいます。早速歩き方を……という前に、まずは先生の講義で、「正しく歩く」とは何かを教えていただきました。

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◆正しく歩くポイントは「股関節」と「ねじれ」

講義は、歩行を進化の過程から考えることから始まりました。人と類人猿などとの骨格の特徴を比べると、人の骨格構造は全て歩くために進化しており、特に類人猿と比べて股関節がまっすぐになり前後に動くようになったことで、足を蹴る動作ができるようになったのです。この「股関節の使い方」が正しく歩くポイントの1つ目になります。

また、人の体には重力がかかっているので、意識しないで生活していると重力に負けてしまう部分が出て体を痛めてしまう可能性もあります。そこで、重力に対して回旋動作を取り入れ、全身を連動させた歩き方をすることで、重力による体の負担をかけずに効率よく歩けるようになるのです。そこで、「ねじれ」が2つ目のポイントとなります。

正しく歩くというと、腕を振ったり、歩幅を意識したりと部分に目が行きがちですが、実は、この「股関節」と「ねじれ」が重要なポイントだったのです。


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◆歩くことで気分が爽快に

歩くことが健康に良いのは多くの人が知るところですが、実際にはどのような良い影響があるのでしょうか。

まず、一定時間歩くことによってリズムができます。そのリズムに合わせて歩くことで、心身の安定を促す神経伝達物質のセロトニンが分泌されやすくなります。そのため、リズミカルに動くことで体は爽快になるのです。本来人それぞれに歩くリズムが違いますが、現代社会はとても早いリズムで動いていて、体格も歩幅も違うのにそのリズムにあわせざるを得ない状況です。しかし早いリズムで動いていると交感神経が優位になりすぎるので、体調を崩しやすくなります。そんな時に、自分自身のリズムをもって正しく歩くことで、交感神経と副交感神経のちょうどいいバランスが取れるのではないかと先生は話されていました。

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講義を踏まえて、実際に参加者全員でウォーキングレッスンの開始です。まずは歩く時のつま先の出し方から見ていきます。歩く時、つま先は少し外側に向くのが理想と言われますが、実は人それぞれに骨格が違うのでつま先の角度も変わってくるのです。参加者はペアになってお互いの骨格を触って確認し、それぞれのつま先の出し方を学びました。

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それぞれのつま先の出し方がわかったら、普段の歩きで骨盤が動いているかどうかのチェックをします。歩く時には本来骨盤が動くものですが、日常デスクワークをしている人は、足を動かさないので関節や周辺の筋肉が凝り固まり、歩くときの可動域がちいさくなってしまいやすいそうです。それによって、歩幅が狭くなったり、躓きやすくなったりします。実際にペアの人に腰を前後に動かしてもらいながら歩くのですが、骨盤が動きにくい状態になっている人はとても歩きづらく違和感があったようです。

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その後も様々な歩き方をすることで、参加者は自分の歩きを一つずつ見直していきます。そして良い状態がどのようなものかを知ることができたので、弱点に効果的にアプローチできました。体の軸がしっかりしていると腕や足はリラックスして歩けるということや、股関節を動かすことで自然と正しい姿勢になり、体全体が連動して動くことを実感できたようです。

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1時間ほどのレッスンを終えた参加者からは「こんな短時間なのに、歩き方がとても変わった」「普段ほとんど股関節を動かしていないことに気付いた」「正しい歩き方だと体の使い方が全然違った」など驚きの声がたくさん聞かれました。また、歩くことはリズムを生み、そのリズムでセロトニンが出ると先生がおっしゃっていた通り、レッスンを終えたみなさんは笑顔があふれ、とてもリラックスしている様子でした。

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最後は今日学んだ成果を形に残すため、プロモーションビデオの撮影をしました。普段映像に撮られる機会はめったにないので、ここではみなさん緊張されていたようですが、先生直伝のモデルウォークを参考に思い思いのウォーキングを披露していました。

主催者であるジャパンヘルスケア代表の岡部大地先生は、今後も定期的にウォーキング講座行い、正しく歩く重要性を伝えていきたいと話されていました。今後も更に正しい歩きを実践する人が増えることを願っています。

 

(取材 / 山岸 祐子)

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医師プロフィール

岡部 大地 総合診療医

2011年三重大学医学部卒業、2013年東京女子医科大学 東医療センターで初期研修修了し、現在東京北医療センター総合診療科で後期研修中。内科認定医取得。具合が悪くなってから受診する患者さんたちを多く診療する中で、根本治療は若いうちから身体をケアすることだと感じ、2015年11月「ジャパンヘルスケア」を設立。ビジネスパーソンの健康づくり、職場環境づくりを行う。

岡部 大地
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