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正月のお腹トラブル、お屠蘇で解決?!

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本年もあと少し。皆様どのような1年でしたでしょうか。年が明けたら、おせち料理など、胃袋にとってもビッグイベント目白押しです。胃もたれやおなかの調子を壊す方も多いお正月。お屠蘇が症状を和らげてくれるかもしれません。

お屠蘇を毎年お正月に飲まれているという方は、どれ位いらっしゃるでしょうか?周囲に聞いてみると、数回程度という人が結構いました。私自身、初めて「屠蘇散」の薬包を頂き、みりんに漬けると知った時は、驚きとともに恐る恐る飲んだ記憶があります。

■お屠蘇の歴史

中国では唐の時代に記録があり、日本には奈良〜平安時代には伝わっていたようです。江戸時代には庶民に広がっていました。当時は年末にかかりつけの 医者にまとめて医療費を払う仕組みだったそうで、支払いと交換で屠蘇散を貰えていたとのこと。薬代回収と庶民文化の痒いところをついた仕組みだったので しょうか。また「お歳暮」として、現在も薬屋さんなどが配っている地域もあるようです。

■お屠蘇の成分

山椒防風桂皮乾姜白朮桔梗陳皮丁子などが一般的です。

山椒:お腹を温め腹痛・下痢・消化不良に効果。

防風:発汗、抗炎症作用。

桂皮:温める作用や汗を出す作用あり。抗菌や抗炎症などの作用もあり。

乾姜:体を温める効果があり、胃腸の機能低下、下痢、腹痛にも効果。

白朮:食欲不振・腹部膨満感・下痢などの消化器症状や、疲れやすいなどの症状に用いられる。

桔梗:鎮咳作用や、痰切り、鎮痛作用あり。

陳皮:腹が張る・嘔気・下痢・食欲がないなどの腹部症状や、痰が多い・咳が出るなどの症状に効果。

丁字:お腹を温める作用や吐きけのほか、殺菌作用や鎮痛・麻痺作用もあり。

※下線→おなかの作用

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ざっと見ると、身体を温める作用の他に、消化管機能に効果を持つ生薬が多数含まれています。過敏性腸症候群や胃痛、胃不快感などの機能性ディスペプシアに用いられる漢方薬にもこれらの多くは含有されています。

そして、日本酒やみりんにつけることから、アミノ酸が豊富になり、更にアルコール作用による血行促進が期待されます。

一方で、お屠蘇を数回飲んだだけでは、漢方として効果を発揮するには十分量ではないとも言われています。脱水気味や、ほてり体質の人などは飲み過ぎると逆効果になる場合もあります。

最近は、ノンアルコールのお屠蘇も販売されているようなので、お酒が苦手な方や、車を運転する方には良いかもしれません。

新しい年の始まり。おなかの調子も晴れ晴れと。皆様のご多幸をお祈りいたします。

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医師プロフィール

田中 由佳里 消化器内科

2006年新潟大学卒業、新潟大学消化器内科入局。機能性消化管疾患の研究のため、東北大学大学院に進学。世界基準作成委員会(ROME委員会)メンバーである福土審教授に師事。2013年大学院卒業・医学博士取得。現在は東北大学東北メディカル・メガバンク機構地域医療支援部門助教。被災地で地域医療支援を行うと同時に、ストレスと過敏性腸症候群の関連をテーマに研究に従事。この研究を通じて、お腹と上手く付き合えるヒントを紹介する「おなかハッカー」というサイトを運営。また患者の日常生活課題について多職種連携による解決を目指している。
【おなかハッカー】

http://abdominalhacker.jp/

田中 由佳里
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