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自分らしく生き抜くために、私たちが気付くべき2つのこと

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いつでも外界の出来事にふり回されず、あるがままの自然体で自らのパフォーマンスを発揮している人は、ある2つのことに気付いています。パフォーマンス向上のために気付くべき2つのこととは?

◆感情に気付くことは、自分自身に気付くこと

「心」を重んじる人は、自分を内観することのすばらしさを知っています。私は、このように心や質を重視して自分のパフォーマンスを向上させ、社会の中で自分らしく生き抜く力を、「社会力」と表現しています。社会力は気合いや根性で頑張るというものではなく、自然体に生きるために「自らの心をフローに導く脳機能」であり、「ライフスキル脳」とも表現しています。

社会力のある人は内観、特に自らの感情に気付く力を持っています。感情は、心の状態を表す唯一の方法であり、本来なら人間は、さまざまな心の状態を表現する感情を感じることができるのです。ところが自らの感情に気付く習慣は、現代の文明社会には全くありません。

楽しい、苦しい、不安、安心、ワクワク、ドキドキ、満足感、がっかり、達成感、後悔、嬉しい、ウザい、むかつき、怒り、やばいなど感情を表現する言葉は何百とあります。心の内側には色々なことが、感情として起きているのです。感情に気付けることは、心に気付けること、そして自分自身に気付けることです。

このようなことは、社会力の基礎と言っても過言ではありません。感情に気付くだけでも、外側に向かって暴走しがちな「認知脳」とのバランスをとることになり、フローな状態で何かをやることができるようになります。逆に、理由、Things To Do、目標、原因だけを考えていると、それに翻弄され、ノンフローになってします。

※フロー/ノンフローとは?:「自分自身の“機能”を左右する“心”の状態」

            「フローな風が吹く ~人生を悔いなく生きるために~」

◆意味付けに翻弄されるな

もう1つ気付くべきは、脳による「意味付け」です。

人間は認知脳が進化した生き物です。ところがこの認知脳は心にとって、あるやっかいなことをする機能を持っています。それが「意味付け」です。

言葉を使う生物は人間だけで、言葉が生まれて以来、人間は意味付けする生き物としてこの地球に君臨しています。この地球上で起こるすべての出来事は本来、意味など付いていないないただの「出来事」なのです。

ただの「出来事」に意味付けするのは、それによって行動を促そうとするためです。そうすることで、人間だけが文明を発展させてきました。朝5時を早いと意味付けるのは人間だけです。電車に乗り遅れて「くそーっ!」という感情を意味付けるのも人間だけ。雨がイヤ、アイツは嫌い、試合に負けてがっかりなど―。すべて人間だけに起こります。

意味付けしない人間を生み出すことは無理ですが、自分自身でこの脳による意味付けと、心の感情状態に気付くことはできます。そして気付くことができれば、認知脳の暴走を鎮静化しノンフローの状態を避けることができます。

となると気付くべきは、自分自身の脳と心があり、脳は事実(環境、できごと、他人)に対応・対峙・接触することで意味付けし、心は何らかの感情を生じさせているという「真実」です。認知脳は外界の意味付けに忙しいのでこの真実に気付くことができず、むしろ外界に存在する意味付けされた事実が真実だと思っていますが、今お話してきたように、それは「今ここにある真実」ではありません。

「心」を重んじている人は内観によって意味付けしている自分や、自分自身の中にどのような感情があるのか気付くことができるのです。つまり、「今ここにある真実」に気づく力があるのです。だからこそ認知脳が意味付けた事実にふり回されることなく、あるがままの自然体で自らのパフォーマンスを向上させて「するべきこと」を実行できるのです。

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医師プロフィール

辻 秀一 スポーツドクター

エミネクロスメディカルクリニック
1961年東京都生まれ。北海道大学医学部卒業後、慶應義塾大学で内科研修を積む。同大スポーツ医学研究センターでスポーツ医学を学び、1986年、QOL向上のための活動実践の場としてエミネクロスメディカルセンター(現:(株)エミネクロス)を設立。1991年NPO法人エミネクロス・スポ-ツワールドを設立、代表理事に就任。2012年一般社団法人カルティベイティブ・スポーツクラブを設立。2013年より日本バスケットボール協会が立ち上げた新リーグNBDLのチーム、東京エクセレンスの代表をつとめる。日本体育協

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