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自分の価値を高める心の持ち方

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自分の価値を高める方法はたくさんあります。その中でもスポーツドクターである辻秀一先生が提唱しているのが、「ご機嫌」になること。自分がご機嫌であればいいことがどんどん生まれます。

◆機嫌が悪い人の本音

「機嫌が悪くて何が悪い」というひねくれ者は時々いますが、機嫌が悪い人と一緒にいたい人はいません。機嫌がよいということの価値を忘れて、「機嫌の悪い状態が自分のデフォルト状態なんだ、機嫌悪く過ごすことが人生なんだ」と、思い込んでいる人も残念ながらいるものです。

そんな人たちも、本当は機嫌がよい方が自分にとっても他人にとってもよいことであると心のどこかではわかっているはずです。しかし自分が長年、機嫌悪く生きてきたために「機嫌なんて悪くてもいいじゃないか」と思い込んで生きているのではないかと思います。

わたしが講師として招かれる会社の研修などでも「わたしの機嫌が悪くて何が悪いんだ。大きなお世話だよ」「機嫌くらいわたしの好きにさせてよ」と、機嫌のよくない人がいらっしゃるのは事実です。しかしそんな人でさえ、「うちの嫁はいつも機嫌が悪くて困るんだよ!」などと嘆いています(笑)。

つまり、どんな人も例外なく機嫌の悪い人と一緒にいるのは嫌で、機嫌のよい人と一緒にいたいと思うのです。したがって機嫌がよいことは、人の役に立つ、人生の最大の鉄則です。

◆自分が機嫌のよい状態であることは、自分の価値を高める

裏を返せば、機嫌のよいことが自分自身の価値になるということです。あの人は人気があるな、あの人はなぜか人から応援される人だな、と思うことがあるでしょう。そういう人はすべからく機嫌がよく、ただそれだけで価値を持った人です。

ビジネスにおいてはオフィスにいるとき、ミーティングのとき、プレゼンや打ち合わせのとき、どういう人といたいでしょうか。また日常生活においてはリビングでくつろいでいるとき、趣味のスポーツをするとき、どういう人といたいでしょうか?

みなさん異口同音に、「機嫌のよい人!」と答えるのではないでしょうか。

このように、自分が機嫌のよい状態でいることは人のためになるのです。そしてそれは、自分のためにもなります。人間関係がいつでもどこでもスムーズになり、仲間も増えて、異性にモテるようになれば、結局はそれが自分のためにもなっているのは自明のことですね。

機嫌のよいことを恐れている人も少なからずいます。それはするべきことをせず、逃げて機嫌のよい振りをしているのです。それはいわば偽ご機嫌であって、わたしたちの目指す機嫌のよい人ではありません。どうせやるなら、やるべきことを機嫌よくやるという生き方が重要なのです。

まずは、自分のために機嫌よく生きましょう。機嫌よい自分がいればそれは周りのためになっているのですから、人間関係の悩みも自然と解消に向かい、結局はそれがまた自分のためになって還ってくるのです。

◆機嫌のよい人と機嫌のよい人が集まると……

話は少し変わりますが、昨今は空前のランニングブームだといいます。たとえば火つけ役となった東京マラソンでは、3万5千人を超える参加者数はもとより、沿道から声援を送る人も加えるといったいどれほどの人が参加しているのでしょうか。

知人から聞いた話ですが、ランニング大会ではトップランナーに対してだけではなく、大勢の市民ランナーに対しても、沿道の声援や給水ステーションなどでのボランティアなど、数多くの応援する人の存在が欠かせないそうです。

そしてこの応援の力が多くのランナーの励ましとなり、完走への後押しとなるといいます。「がんばれー」という声援に「ありがとう」と応え、そのことが、ともすればへこたれそうになっているランナーを鼓舞して前に進む力になるというのです。

まったく見ず知らずの人の間に、このようなことが起こる。素晴らしいことだと思います。一方でボランティアとしてランナーを応援している人たちが元気であるということを見逃してはなりません。ここでは、応援する人もされる人も機嫌がよく、エネルギーを与え合う関係が成立しているのです。

人間関係がどうあれ自分の機嫌がよければ人生は幸せですし、機嫌のいい人のところには人は集まります。集まる人はみんな機嫌のよさに魅了され、自分も機嫌のよい人になっていく、つまり好循環の始まりです。

そして、すべての始まりは何度も申し上げる通り、自分の機嫌からです。その機嫌をつくり出すのは自分自身の脳、つまり思考です。思考を磨けば、人間関係の問題はパッと驚くほどに解消するのです。それはまるで魔法のように……。

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医師プロフィール

辻 秀一  スポーツドクター

エミネクロスメディカルクリニック
1961年東京都生まれ。北海道大学医学部卒業後、慶應義塾大学で内科研修を積む。同大スポーツ医学研究センターでスポーツ医学を学び、1986年、QOL向上のための活動実践の場としてエミネクロスメディカルセンター(現:(株)エミネクロス)を設立。1991年NPO法人エミネクロス・スポ-ツワールドを設立、代表理事に就任。2012年一般社団法人カルティベイティブ・スポーツクラブを設立。2013年より日本バスケットボール協会が立ち上げた新リーグNBDLのチーム、東京エクセレンスの代表をつとめる。日本体育協

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