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熱意と手厚いサポート付き! 離島へき地のジェネラリスト育成プログラム

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ゲネプロが運営する離島へき地でジェネラリストを育成するプログラム「Rural Generalist Program Japan」2期生のためのオリエンテーションが開催されました。勤務等で参加ができなかった方もおり、2期生のうち9名と各研修先病院の院長や事務長、メンターが一同に会し、目指す方向性を確認、4月からの研修に備えました。オリエンテーションの様子を通して、ゲネプロ研修プログラムの内容をお伝えします。

2期生は、全国から計12名の参加が決定。それぞれ長崎県上五島、高知県宿毛市、島根県益田市、千葉県銚子市の病院に1年間限定で勤務、通常業務をこなしながら国内研修・海外研修を受けることができます。

最初にゲネプロ代表の齋藤学先生から、やるべきこと・実現したいこと・なりたい姿の確認がありました。

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【やるべきこと PURPOSE】
・離島へき地に勤務しながら、教育が受けられるシステム作り
・離島へき地をサポートする医師プール作り

【実現したいこと MISSION】
・総合医にとっての「メジャーリーグ」である離島へき地にて「期間限定」のトレーニングを積み、足腰のしっかりとした医師を育成する
・実力と志を兼ね備えた医師が全国にネットワークを形成し、応援診療等、離島へき地の強力なサポート体制を構築する

【なりたい姿 VISION】
・離島へき地で闘える医師になる
・離島へき地で闘える医師を育てる
・離島へき地で闘える医師を派遣する

続いてはプログラム全体像の説明。2017年4月にスタートした1期目の研修の反省点や改善点を洗い出し、ブラッシュアップされています。

【国内研修】

■オンライン研修

毎週月曜日19:30から1時間で、オンライン研修が実施されます。病院の勤務時間やオーストラリアとの時差の関係で、この時間帯がベストだったそうです。

毎月第1週は、オーストラリア人総合診療指導医Dr. Ronald MacCoyによるレクチャー。1期目の時はさまざまなオーストラリア人医師に登場してもらい、バラエティに富んでいたのですが、体系立っていなかったという反省があったそうです。そのため、2期目はDr. Ronaldに単独でレクチャーを依頼しています。齋藤先生は、「Dr. Ronaldからは、医学だけでなく、人間性や考え方も学んでほしい」と言っていました。

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第2週はメンターレクチャー。メンターによる司会進行のもとで、研修生からリクエストが多い専門科のレクチャーを行います。また、メンターは日常診療以外の悩みや相談、要望もヒアリングして、研修生たちをサポートしてくれます。統括メンターである山口卓哉先生からは、「サポートメンバーを十分活用してほしい」と力強い言葉をいただきました。

第3週は「G’day Mate」といって、英語でのグループ・ディスカッションを行います。講師はメルボルンで栄養士として活躍し、原住民地域での栄養に関する研究の経験を持つJasmine Millman。Dr. Ronaldやゲネプロスタッフの呉月順さんも参加し、デスカッションを通して自然な英語環境に慣れることを目指します。

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第4週は「レジストラ・フィードバック」。研修生とメンター、ゲネプロメンバーが参加し、1カ月間で「できたこと/できなかったこと/感情のメタ認知/次の目標」を症例ベースに振り返ります。

他にも不定期で「Be a Better Doctor」と題して、オーストラリアのへき地で挑戦している医師と英語での交流が実施されます。

■国内でのその他の研修

2018年7月と2019年2月に開催予定のワークショップでは、手技強化を図ります。他にもACRRM(オーストラリアへき地医療学会)のカリキュラムに基づき作成されたオンラインラーニングのプラットフォームで自己学習が可能だったり、「E-consult」という2期生とメンター、ゲネプロスタッフが参加するFacebookグルーブでいつでも質疑応答ができたり、充実した環境が整っています。

【海外研修】

■エレクティブ研修

1年間の病院勤務の後、3カ月間それぞれが希望する地で行う研修です。1年間の腕試しという位置付けです。現在ゲネプロで提携しているのは、オーストラリア・クィーンズランド州とネパール・チョウジャリの2カ所。モンゴルは交渉中で、もちろん自分で希望する地の研修受け入れを取り付けて行くことも可能です。

■海外学会参加

研修期間中に、オーストラリアの学会に1回演題を持って行き、オーラルプレゼンテーションもしくはポスターセッションを行うことが推奨されています。推奨学会も提示してもらいました。

研修プログラムの説明後、契約形態やオーストラリア・クイーンズランドオブザーバーシップの手続きの説明があり、その後研修先ごとに院長・事務長と詳しい説明や質疑応答で、4月からの勤務環境のイメージを膨らませました。

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午後は、メンターと研修先の院長を交え、研修生9名が、現時点で不安に思っていることや理想の医師像を共有しました。

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2期生は現在、必ずしも総合診療科や救急科に所属している訳ではありません。そのため、これまでの診療科を離れてジェネラルに診なければいけない環境になること、また、先輩医師がおらず一人で診る場面もあることに対する不安を感じている方が大きいようでした。しかし2期生たちは地域に根付いた医師、泥臭い医師、在宅医療現場で引き出しの多い医師など、理想の医師像が明確にあり、4月からの研修に高い目的意識を持っていました。

研修先病院の院長からも、「冷や汗をかかないと成長はないけれど、同期同士で助け合える環境はあるし、何かあったら院長はじめ医師たちでサポートするから、まずはやってみよう」「総合診療というボックスの横・縦・高さをどんどん広げていって欲しい」と励ましの言葉をいただきました。

プログラム内容は確立の途上で、荒削りな部分もあります。また、ゲネプロとして研修修了後の進路提案をできる体制をつくっていかなければいけません。しかし、ゲネプロスタッフはじめメンター、研修先病院の熱意は十分で、その熱意によるサポート体制は手厚い印象を受けました。2期生の活躍、ゲネプロの研修プログラムの進化が楽しみです。

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医師プロフィール

齋藤 学 救急科

合同会社ゲネプロ
2000年順天堂大学医学部を卒業、千葉県国保旭中央病院にて研修。2003年から沖縄県の浦添総合病院、鹿児島県徳之島徳洲会病院などに勤務し、2015年合同会社ゲネプロを設立、代表に就任する。2017年4月から「日本版離島へき地プログラム」をスタートさせた。
ゲネプロ http://genepro.org/rgpj/

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